2021年11月20日(土)「モスル〜あるSWAT部隊の戦い〜」

MOSUL・2019・米・1時間42分(IMDbでは1時間26分、USA版1時間41分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、森澤海郎/ビスタ・サイズ(表記無し。IMDbでは1.85、Arri ALEXA Mini)/ドルビーATMOS
(米TV-MA指定)

監督・脚本:マシュー・マイケル・カーナハン
撮影:マイケル・バージェス
出演:アダム・ベッサ、
   スへール・ダッバーシ、
   イスハーク・エルヤス、
   クタイバ・アブデル=ハック、ほか

公式サイト
https://mosul-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

イラク、モスル。ISISとの戦いの終盤戦。街はほとんど廃虚と化し、麻薬の売人を捕らえた21歳の新人警官のカーワ(アダム・ベッサ)は、ISISの攻撃を受け、叔父を失ってしまう。そして全滅かというところへニネベ州のSWAT部隊が現れ、救出される。全滅したと思われていたSWAT部隊を率いるのはジャーセム少佐(スへール・ダッバーシ)で、隊員が半分になっただけで全滅していないと言い、ISISに身内を殺されたものはSWAT部隊に入れる資格があるから、加われと誘う。どうせ犯罪者を捕らえても刑務所が機能していないのだから意味はないと。そこでカーワは部隊に加わり行動を共にすることにするが、どんな任務なのかは知らないでいいと言われる。

74点

前へ一覧へ次へ
 戦争のある1面を描いた恐ろしい映画。自分の国というか、町というか、家のあるところが完全に廃去となってしまったとこで展開する、さらなる殺戮の物語。人間ってこうなる前に戦いをやめられないのだろうか。殺戮や破壊の手段が進歩し、より酷い状況を生み出しているが、たぶん昔からあることで、いまだに続いている。何も学んでいない。悲劇は繰り返されている。

 しかも事実に基づいた作品。アメリカの『ザ・ニューヨーカー』という雑誌に掲載された記事が元になっているという。それがまた恐ろしい。

 臨場感を高めるためか、手持ちカメラが多用されている。しかしシネスコ・サイズのため、ちょっと揺れが強調されて目が回る。やり過ぎの気がする。そこだけが残念。これは脚本も手がけた監督のマシュー・マイケル・カーナハンの経験不足からかもしれない。2007年からハリウッド大作の脚本を手がけ、高い評価を得ているものの、劇場作品の監督は本作が初めて。臨場感とかのイメージが先行してしまったか。マシュー・マイケル・カーナハンは「NARCナーク」(Narc・2002・独/加/米)や最近だと「コンティニュー」(Boss Level・2020・米)のジョー・カーナハンの弟らしい。なるほど納得という感じ。次作も期待できそう。

 リアルティへのこだわりは、ほとんど現地にしか見えないロケ地(CGで手を加えているようだが)、アラビア語を母国語とする俳優を起用するとか、撮影前に俳優に軍事訓練を受けさせるとか、使用する武器もアメリカ映画なのにほぼAKがメインとか、多方面に渡る。最初アメリカ映画とは思わなかった。廃虚のような街はゾッとした。まるで第二次世界大戦時のドイツのドレスデンとか、日本の広島・長崎、1923年の関東大震災あとのよう。

 銃は、AK、AKS、AKM、AKMS、二脚付きFAL、バルメ、ドラグノフ、グロック、ベレッタ92(あとでサプレッサーを装着)、ハンビーの車載銃はM60、ZB-53マシンガンなど。隊長はひとりAKのモダナイズド・カスタムを使っている。ほかにナイフとRPGも。

 劇中「タバコと銃は世界の共通語だな」という発言があるが、日本人的にはまったく理解不能。世界が違いすぎる。

 公開2日目の初回、日比谷の昭和な劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前にエレベーターが止まるようになり開場。スクリーンはヨーロピアン・ビスタで開いており、明るいままCM・予告。スクリーンの反射率が低いのに、明るいままなのでよく見えない。せめて前方だけでもライトを消して欲しい。暗いシーンはほぼ見えない。まあトイレもシャワー・トイレだけど、暗くてじめじめしているしなあ……。

 観客層は、昭和な劇場らしくほとんどオヤジ以上。昔のシネパトスみたいにオヤジ劇場になっている。中高というより高寄り。最初20人ほどいて、女性は2人。最終的には224席に2割りくらいの入り。若い人は2〜3人というところ。

 CM・予告のあとマスクの注意から半暗になり、飲食OKが出て本格的予告、マナーのあと暗くなって、ようやく非常口ランプが消え、まぶしい足元注意、上下マスクの映画泥棒、映倫から本編へ。

 本編冒頭、日本語の註が出て「製作者の意図で一部翻訳されないシーンがある」と。エンド・クレジットになった途端、ケータイを点けた若いヤツがいて、後ろのオヤジに注意されていた。そうだ、迷惑! ケータイ使いたいならロビーに出ろ。それも出来ないほど忙しいなら劇場に来るな!


前へ一覧へ次へ