2021年11月21日(日)「アイス・ロード」

THE ICE ROAD・2021・米/加・1時間49分

日本語字幕:丸ゴシック体下、林 完治/シネスコ・サイズ(表記無し。IMDbでは2.39、Arri ALEXA Mini)/音響表記無し(IMDbではドルビー・デジタル)
(米PG-13指定)

監督・脚本:ジョナサン・ヘンズリー
撮影:トム・スターン
出演:リーアム・ニーソン、
   ローレンス・フィッシュバーン、
   マーカス・トーマス、
   アンバー・ミッドサンダー、ほか

公式サイト
https://gaga.ne.jp/iceroad/
(全国の劇場リストもあり)

カナダ北部のダイヤモンド鉱山、カトカでガス爆発が発生、26人が閉じこめられてしまう。救出するには先ずガスを抜いて、それからトンネルを塞いでいる土砂を爆破で除去しなければならない。そのためには30tもの重量がある坑口装置とそれをつなぐパイプが必要で、遠方から運ばなければならない。しかし重すぎて輸送機に積むことはできず、陸路で運ぶしかなかった。坑道の酸素が無くなるまでの時間は30時間。事態を重く見た政府は、春が近く閉鎖されたアイス・ロード(湖などで氷が張って車が通れる道)を開き、大型トレーラーで運ぶミッションを計画。運送会社の経営者ジム・ゴールデンロッド(ローレンス・フィッシュバーン)に依頼する。報酬は20万ドル。ジムはすぐに募集をかけ、アイス・ロード経験のあるドライバー、マイク・マッキャン(リーアム・ニーソン)と、その弟でイラク戦争でPTSDを患っているメカニックのガーティ(マーカス・トーマス)の採用を決める。ほかに、ジムの元部下で、腕の確かな先住民の女性ドライバー、タントゥー(アンバー・ミッドサンダー)も採用する。ジムも含む3人のドライバーは、それぞれの車に乗り込み、どれか1台でもたどり着ければということで、まったく同じ積み荷を積んだ3台で氷の薄くなったアイス・ロードへと走り出す。

73点

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 公開されてすぐに小スクリーンになったから、ちょっと残念なアクションなのかと思ったら、意外と面白かった。大作でアカデミー賞クラスになると、その後B級に出まくりになるというパターンにリーアム・ニーソンもハマったかなと。まあ当たり外れは当然あるけれど、リーアム・ニーソンは比較的少ないほう。本作は当たりの方だと思う。

 基本的にはやはり大傑作の「恐怖の報酬」(Le salaire de la peur・1953・仏/伊)的な映画。本作は運ぶものが危険ではないが、運ぶ道が危険。事故が起きて、早く現場に届けないと被害が広がってしまう。そこで賞金付きで運び屋を募集して……。ドライバーにマリオとルイージがいて、まあ、これは置いておくとして……2,000ドルの報酬がここでは20万ドルになっていて、60年ほどで100倍か。まっ、とにかく骨子はそれで、味付けを変えたと。それが意外と面白かった。先住民族の若い女性とか、PTSDの弟とか。

 ただ、主人公のキャラクターがちょっと問題では? 精神的障害を抱える自分の弟に向かって、オレたちがいつもクビになるのはおまえが言われたことをちゃんとやらないからだ、と(上から)言い放つが、そんなこと本人に言う? しかも弟は良いヤツ。メカニックとしての腕もあるし。岡目八目的に観客の立場からはそうじゃなく、兄のお前が弟のことで(たぶん世話を焼き過ぎ)暴力を振るったりトラブルを起こすからだろう、と思ってしまう。保険屋のこととか、ほかのことでも偉そうに怒鳴りつけ間違った判断ばかり。好きになれない。ラストに大金を手に入れたとして、独り占め? 生き残りで分けるんじゃないの? 遺族には? と思ってしまう。

 それと、せっかくローレンス・フィッシュバーンが出ているのに、こんな扱い? 大スター2人は予算的に難しかったか、そう勘ぐってしまう。

 監督・脚本はジョナサン・ヘンズリー。TV出身で脚本から入り、「ダイ・ハード3」(Die Hard: With a Vengeance・1995・米)や「アルマゲドン」(Armageddon・1998・米)などの脚本から、「パニッシャー」(The Punisher・2004・米/独)で脚本も書きつつ監督デビュー。本作の前に面白かったSFアクションの「NEXT-ネクスト-」(Next・2007・米)の脚本を書いている。その後、2011年の劇場未公開作品があって、本作は久しぶりの長編・劇場監督・脚本作品。ちょっと脚本の腕が鈍ったか。

 銃は、先住民の女が持っていたのがグロック、刺客が持っていたのがプラスチックっぽいP226。グロックは撃つけど、こっちは撃たないし、たぶん……。

 公開10日目の初回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分前に劇場が開き、入るとすぐに開場。トイレに行って入場したらすでにシネマチャンネルが始まっていた。おいおい、もっと早く劇場を開けろよ。観客層はほぼ中高年。最終的には112席に15人くらい。まあ朝一で早いとは言え、わずか1週間ほどでこんなに少なくなるとは。不評なのだろうか。若い人が2〜3人、女性が3人。

 まあとにかくケータイを使ってヤツが多い。場内が暗くなっても、本編が始まるギリギリまで、ラインにチェックやゲームをやったりビデオを見ているヤツ、外でやれ。光っていて、つい目についてしまう。まぶしい。

 CM・予告から、飲食OKになって半暗になり、非常口の案内からランプが消えて、ドラえもんマナーのあと予告が続きマナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がってフル・サイズでまぶしい足元注意、映画泥棒、映倫で、本編へ。


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