2021年12月18日(土)「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」

DARK WATERS・2019・米・2時間06分

日本語字幕:丸ゴシック体下、橋本裕充/シネスコ・サイズ(2.55くらいの横長で上映、Arri。IMDbでは2.39、Alexa Mini)/ドルビー・デジタル
(米PG-13指定)

監督:トッド・ヘインズ
製作:マーク・ラファロ、ほか
脚本:マリオ・コレア、
   マシュー・マイケル・カーナハン
撮影:エドワード・ラックマン
出演:マーク・ラファロ、
   アン・ハサウェイ、
   ティム・ロビンス、
   ビル・プルマン、ほか

公式サイト
https://dw-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

1998年、オハイオ州シンシナティの弁護士事務所の企業弁護士ロブ・ビロット(マーク・ラファロ)は、母の知り合いという農場主から、近くのデュポン社の工場の廃液によって牛が190頭も死んだという相談を受ける。企業弁護士として、大事になる前に和解するため、デュポン社から資料を取り寄せ調査を進める内、謎のワード「PFOA」を見つけ、さらに調査を進めることにする。

76点

前へ一覧へ次へ
 恐い映画。しかも実話で、問題の企業は実名で糾弾されている。問題となるのはテフロン加工で使用されるPFOAという物質。発ガン性で最初従業員に症状が出て、わかっていながら廃液を垂れ流していたという事件。ウチにもテフロン加工のフライパンがあるが、あれは大丈夫なのか、とても気になった。帰宅してからよく見ると「PFOA・鉛・カドミウム不使用」と表記されてはいたが…… 最近、買い替えたばかりだったので説明文がまだあり、思わず読み直してしまった。はたして使い続けていいものかどうか。遠い過去の話ではなく、2016年のニューヨーク・タイムズ紙の記事に基づくというから、つい最近の話だ。のちに全面的に和解したとか出たが、それはガンになって訴えた人との間の話であって、フライパンは全世界で作り続けられ、大きな利益をあげていると。

 いつも書くように、アメリカはこういう事件を起こしながらも、それを映画にして世に広く伝えていくということをやる。アメリカだからやれるというか。しかも、事実を伝えるというドキュメンタリーではなく、よりわかりやすく、入って行きやすい物語として、エンターテインメント作品にまとめているところが凄い。多少そこに誇張やウソが入ってしまう危険はあったとしても。

 公式サイトによれば、本作は環境活動家でもある主演のマーク・ラファロが、2016年のニューヨークタ・イムズの記事を読み映画化を決意したのだそう。自らがプロデューサーとなり、トッド・ヘインズを監督に指名したらしい。たぶんキャストにもこだわりがあるのだろう。

 ボクはトッド・ヘインズ監督作品を見たことがない。芸術の分野から映画の世界へ入った人のようで、数々の賞に輝くものの、アート系と言うイメージが強いのか、日本ではあまりメジャーではない感じ。どうにも食指が動かないのと、上映劇場がアート系の小さなところばかりなのも、見ていない理由の1つ。同じ料金で、視聴環境に著しく差がある。これでスクリーンが小さかったら自宅の方が良いかくらいで……。

 銃は、農場主がモーゼル系のボルト・アクション・ライフルを持っている。

 公開2日目の初回、銀座の昭和な劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前にエレベーターがその階で止まるようになり、開場。観客層は若い人から中高年まで、割りと幅広く、男女比は7対3くらいで男性のほうが多かった。フライパンの話としては女性にもっと見て欲しい気もするが。最終的には3スクリーン中、唯一傾斜のついた、それでも前席がじゃまなスクリーン224席の95%くらいが埋まった。ほぼ満席。平成の劇場でやっていたら、もっと入る可能性があったのでは。

 スクリーンは小さなビスタで開いていて、暗い(反射率の低い)スクリーンに明るい照明でほとんど見えないシネマチャンネルのあと、飲食OKになって半暗になったものの、まだスクリーンはよく見えない。古い劇場だからなあ。CM、予告の後、スクリーンのマスクが左右に広がり、少し上下にも広がって2.55くらいの横長シネスコ・サイズになり、足元注意の、映画泥棒、映倫から暗くなって本編へ。

前へ一覧へ次へ