2021年12月25日(土)「キングスマン:ファースト・エージェント」

THE KING'S MAN・2021・英/米・2時間11分(IMDbでは2時間10分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(Arri、Panavision、IMAX。IMDbでは2.39、IMAXは1.90)/ドルビー(IMDbではドルビーATMOS)
(英15指定、米R指定、日PG12指定)(日本語吹替版、4D上映、ドルビーATMOS上映もあり)

監督:マシュー・ヴォーン
製作:マシュー・ヴォーン、ほか
製作総指揮:レイフ・ファインズ、ほか
脚本:マシュー・ヴォーン、
   カール・ガイダシェク
撮影:ベン・デイヴィス
出演:レイフ・ファインズ、
   ハリス・ディキンソン、
   ジェマ・アタートン、
   ジャイモン・フンスー、
   リス・エヴァンス、ほか

公式サイト
https://www.20thcenturystudios.jp/movies/kingsman_fa
(全国の劇場リストもあり)

1914年、謎のテロリスト組織が送り込んだプリンツィプ(ジョエル・バスマン)によってオーストリアのフェルディナンド大公夫妻が射殺される事件が発生、世界大戦の勃発の可能性が一気に高まる。イギリスの平和主義者として知られていた貴族オックスフォード公(レイフ・ファインズ)は、キッチナー将軍(チャールズ・ダンス)の極秘の依頼で、世界大戦を防ぐため、ロシア皇帝ニコライ二世(トム・ホランダー、1人3役)を説得する任務を受け、息子のコンラッド(ハリス・ディキンソン)と共にロシアへ向かうが、そこに不思議な力で皇帝に取り入ったテロリスト組織のラスプーチン(リス・エヴァンス)が立ちはだかる。

76点

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 ほぼ、第一次世界大戦を描いた戦争映画。てっきり2世の若い世代を描くのかと思ったら、父親が大活躍する物語だった。武器や車、風俗などもその当時らしさにあふれている。かなり正確に再現したようだ。すばらしい。そこにも見る価値がある。

 しかしそれだけではなく、内容が濃い。たっぷり楽しむことができた。史実をうまく採り入れて、いかにも本当にあったことのように自然に描かれているのがすごい。説得力がある。雰囲気的にはインディ・ジョーンズ的でもあった。だいたい主演のレイフ・ファインズの若い頃(たぶんCGの若返り)は、ほぼハリソン・フォードそっくり。

 第一次世界大戦ものというか、古い戦争物では、若者が戦場に行きたがり、年齢を偽ってでも戦いたがる。そして実際の戦場で地獄を見て後悔するというパターンがある。実際そうだったのだろう。イギリスの古典を原作にした「サハラに舞う羽根」(The Four Feathers・002・英/米)でも描かれている羽根のエピソードもある。戦場では塹壕に潜み、一斉に突撃するという戦法を繰り返し、多くの兵士がマシンガンで次々となぎ倒されていく。うむむ……。ちょっとパターンだが。

 アクションはかなり過激で、血が飛び、首が飛ぶ。しかも飛んだ首がとてもリアル。作り物っぽくない。生身らしい柔らかさに重みがある。やっぱりデジタルなのだろうか。

 もちろんレイフ・ファインズは本当によく頑張っていて大活躍だが、特に良かったのは、ラスプーチンを演じたリス・エヴァンス。怪しげな役、クセの強い役の多い人で、キアヌ・リーヴスの傑作逆転スポ根「リプレイスメント」(The Replacements・2000・米)で1人、和を乱すような役をやっていた。最近ボクが見た作品では、キーラ・ナイトレイの内部告発映画「オフィシャル・シークレット」(Official Secrets・2019・英/米ほか)に出ていた。本作もかなりクセが強い。

 監督・製作・脚本はマシュー・ヴォーン。みごとなファンタジーだった「スターダスト」(Stardust・2007・英/米)や、傑作ヒーロー・アクション「キック・アス」(Kick-Ass・2010・英/米/中)を監督した人。「キングスマン」はシリーズ前作を手がけているから、全くブレていない。すばらしい。今後も期待だ。

 銃は、クラシックな名銃が使われている。イギリス軍はリー・エンフィールド・ライフル、ウェブリー・リボルバー、ルイス・マシンガン、ヴィッカース・マシンガン。ドイツ軍はモーゼル1898ライフル、MP18、マキシム・マシンガン。暗殺者プリンツィプはFN M1910、息子のコンラッドはワルサー・モデル4か7と思ったら、imfdbによるとウェブリー・オートだったらしい。そりゃ、イギリスなのだから当然か。撃っているのには驚いた。家政婦&家庭教師のポリーは正体不明のリボルバーとスナイパー用のエンフィールドP14ライフル。レイフ・ファインズは照明弾発射機付きシュタイアーM1912。敵のボスはすネイル・マガジン付きルガーP08の20cm(いわゆる8インチ)銃身のネービー。ニコライの暗殺に使っていたのは、フル・オートで撃っていたように見えたのでM712かと思ったら、imfdbによるとノーマルなC96だったらしい。確かにM712では1932年ということになるか。カイザーを射殺するリボルバーもモデル名はわからなかった。

 時代を反映して、紳士のたしなみということかタバコは時々吸っていた。女性も吸っていたけど。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前くらいに開場。やはりメインは中高年。男女比は、後半に女性が増えて、1/3くらいに。最終的には395席の95%くらいがうまった。ほぼ満席。9席×2列のプレミアム席もたぶん全席埋まった。すばらしい。

 シネマ・チャンネルのあと、マスク注意から飲食OKで半暗になり、CM・予告に続いて、マナー、忘れ物注意、ティファニーのCMから暗くなって、映写機のマスクが左右に広がり、TCXデモ、まぶしい足元注意、映画泥棒、映倫で本編へ。希望的には、いつまでもしゃべっているな、ケータイ消せ、早く来い、かなあ。


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