2022年1月22日(土)「ブラックボックス:音声分析捜査」

BOITE NOIRE・2021・仏/ベルギー・2時間09分

日本語字幕:丸ゴシック体下、橋本裕充/シネスコ・サイズ(IMDbでは2.39、Arri ALEXA mini)/たぶん表記無し(IMDbでも表記無し、公式サイトではドルビー・デジタル)

監督:ヤン・ゴズラン
脚本:ヤン・ゴズラン、
   シモン・ムタイルー、
   ニコラ・ブヴェ=ルヴラル
撮影:ピエール・コッテロー
出演:ピエール・ニネ、
   アンドレ・デュソリエ、
   ルー・ドゥ・ラージュ、ほか

公式サイト
https://bb-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

アルプスの山中で、ヨーロピアン航空の最新鋭機が墜落し、乗客・乗務員316人全員が死亡する。フランス航空事故調査局(BEA)は、ブラックボックスの音声分析のため責任者のポロック(オリヴィエ・ラブルダン)を派遣するが、突然失踪してしまう。後を継いだ音声分析官のマチュー(ピエール・ニネ)は、緻密な分析によりコックピットに男が進入したことを突き止め、記者会見でテロと発表する。ところがその後、遺族から留守番電話に残されたメッセージを聞かされ、ブラックボックスの音声記録と違いがあることに気付く。


78点

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 かなりハラハラ、ドキドキした。面白かったし、楽しめた。結末はちょっとフランス映画っぽいというか、ヨーロッパ映画的というか、ハリウッド映画とは違うなと。そこの評価で分かれそうな気はする。ボクはちょっと引っかかったが、良かったと思う。

 パターンとしては、潜水艦映画「ウルフズ・コール」(Le chant du loup・2019・仏)と同じような音響分析官の話。「THE GUILTY/ギルティ」(Den skyldige・2018・デンマーク)も音だけで話が進む警察映画だった。ヨーロッパ的には割と定番のテーマなのかもしれない。

 ブラックボックスに隠された陰謀は、あるのか、ないのか。それは主人公の妄想なのではないか。そのあたりを行ったり来たりするのも面白かったが、やややり過ぎというか、もたつき過ぎの感はあった。それでも観客は主人公に最後までついていくことができた。そしてなかなか凝った謎。それを解くのも面白かった。デジタル(グラス)コックピットの落とし穴。ありそうだなあと。

 ここで活躍するのがBEA=フランス航空事故調査局。初めて知った。ロゴがなかなかカッコよく、エンド・クレジットでもロゴが出ていたから、たぶん協力しているのだろう。でないとロゴが使えないはずだから。映画の中のように、ル・ブルジェ空港にあるんだそう。ただ実際の建物はかなり質素で、予算のない地方の小さな町の役場みたい。

 脚本も手がけた監督のヤン・ゴズランは、大学で映画を学び、デビュー作から賞を受賞し、これまでに多くの賞を取っているのだそう。作品の傾向としては犯罪者が多いよう。ただ日本での劇場公開はあまりないようで、「パーフェクトマン 完全犯罪」(Un homme ideal・2015・仏)が限定公開されたくらい。この作品で主演しているのが、本作でも主演したピエール・ニネ。

 そのピエール・ニネはたぶんあまり日本では知られていないようで、最近だと2020年に日本劇場公開された「母との約束、250通の手紙」(La promesse de l'aube・2017・仏)に出ていたらしい。ボクは見ていないが、本作では役にピッタリ合っていたような気がする。かろうじてボクが見たことあったのは、BEAの局長を演じたアンドレ・デュソリエという人。ボンド・ガールのレア・セドゥがベルを演じたフランス版の「美女と野獣」(La belle et la bete・2014・仏/独/西)で、ベルの父親の商人を演じていた。

 銃は、これだけのアクション作品なのに、1挺も登場せず。猟銃などが出てきてもおかしくないのに。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前くらいにエレベーターが動き出し開場。観客層は若い人から中高年まで割と幅広く、男女比はだいたい半々。最終的には224席に8割くらいの入り。なかなかの人気。もっと良い劇場で上映していい作品ではないだろうか。

 スクリーンはビスタで開いていて、10分前くらいから曲が流れ、1分ほどしてシネマ・チャンネルへ。昭和な劇場なので、明るいとスクリーンはよく見えない。そのまま流れて、マスク着用と飲食OKで半暗になり、予告が続いて、マナーのあとスクリーン側のカーテンのマスクが左右に広がり、シネスコ・サイズになった暗くなり、足元注意のフル・サイズの映画泥棒、映倫で本編へ。


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