2022年4月3日(日)「シャドウ・イン・クラウド」

SHADOW IN THE CLOUD・2020・ニュージーランド/米・1時間23分

日本語字幕:丸ゴシック体下、額田深雪/シネスコ・サイズ(IMDbでは2.39)/音響表記無し(IMDbにもなし)
(ニュージーランドR13指定、米R指定)

監督:ロザンヌ・リャン
脚本:マックス・ランディス、
   ロザンヌ・リャン
撮影:キット・フレイザー
出演:クロエ・グレース・モレッツ、
   ニック・ロビンソン、
   ビューラ・コアレ、
   テイラー・ジョン・スミス、ほか

公式サイト
https://shadow-in-cloud.com/#
(全国の劇場リストもあり)

1943年、太平洋戦線。婦人補助空軍(WAAF)の将校、モード・ギャレット(クロエ・グレース・モレッツ)は、特命を帯びてB-17爆撃機「フールズ・エドランド」に乗り込み、サモアを目指してニュージーランドの飛行場を飛び立つ。しかし男社会の爆撃機では受け入れてもらえず、狭い球状銃座に閉じこめられてしまう。すると高度が25,000メートルに達した頃、翼のところに異様な生物が取りついているのが見える。

70点

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 うーむ、あまりに荒唐無稽すぎて、引いた。リアルっぽく始めたものの、話がわかり始めるとドンドンご都合主義のあり得ない展開となっていく。ファンタジーどころか、めちゃくちゃな感じ。こんな展開で良いの? しかも1時間23分が長い。脚本にも、演出にも問題ありかも。

 前半はほぼボール・ターレット内の独り芝居。ほかの出演者はインターコムからの声のみの出演。面白いのだが、会話の内容が酷すぎて聞いていられないほど。せっかくの設定がちっとも生きていない。

 そして何より主人公の爆撃機に乗り込んだ理由がいただけない。まったくリアリティ無し。ところがそれがこの映画のメイン・テーマであり、グレムリンは単なる事件の一つ程度で、なくてもいいもの。どうせトンデモ話にするなら、グレムリンの方をメインにした方が面白い映画になっていたのではないかなあ、とシロートに思われるようではプロの作品としてイカンのでは。あるいは、そう行くと見せかけて、しっかりとした戦争アクションにしたほうが良かったのでは。このやり方というかテーマでは、何も伝わってこない。たぶんどんな名優が演じたとしても。

 また、キャラクター設計というか登場人物の設定が酷すぎる。雑。ほぼ主人公以外バカ。時代を反映したつもりなのか、爆撃機乗りは昔の海賊船みたいなものという設定なのか、女性蔑視も甚だしい。誰1人として受け入れがたい。さまざまな人がいて、それぞれに人生模様を感じさせてくれるようなクルーだったら、敵機に攻撃されたり、グレムリンに攻撃されたりしたときに、がんばってとかどうぞ助かってと思えるのに、淡々と見てしまう。同情を感じない。そういう設計なのか。理解に苦しむ。

 ただ、舞台はいい。B-17爆撃機。見どころはここだけかな。カッコいい。M2の航空機銃がまた素晴らしい。最も恐怖感が強かったとされるボール・ターレット銃座もいい。ホント怖そう。装填の様子も興味深い。とはいえ、1943年だと、B-17は航続距離からヨーロッパ戦線に回され、太平洋戦線のメインはB-24とかB-25、B-29じゃないのかなあ。撮影に使えるものがそろえられなかったということか。しかも暗いうちからたった1機で飛んで行くなんて。編隊じゃないの? 管制塔とのやり取りもないし。あると人物照会が出来るから、女の正体がすぐバレることになってしまうもんなあ。ご都合主義だなあ。

 銃は、

【ただいま執筆中。少々お待ちください】


 公開3日目の初回、といっても昼近くの回、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分くらい前に開場。エスカレーターで上がるとすでに予告がスタートしていた。一番乗りに近かったのに…… 誰向けに上映しているのだろう。観客層は若い人から中高年まで幅広く、女性は3割ほど。最終的には232席に7割くらいの入り。ただ、この出来では今後増えるとは思えないなあ。

 スクリーンはシネスコで開いており、映写機の左右マスクの予告の途中で半暗になり、四角の枠付きの映画泥棒、映倫、ケロロ軍曹の海賊版をはさんで再び予告が続き、映写機のマスクが左右に広がり、シネスコになって、暗くなり、マナーからフル・サイズの本編へ。


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