2022年6月4日(土)「オフィサー・アンド・スパイ」

J'ACCUSE・2019・仏/伊・2時間11分(IMDbでは2時間12分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、丸山垂穂 監修:内田 樹/ビスタ・サイズ(フルの左右マスクで上映、公式サイトでは4K 1.85、IMDbではSony Venice 4K)/音響表記なし(公式サイトでは5.1ch)
(仏すべて鑑賞可)

監督:ロマン・ポランスキー
原作:ロバート・ハリス「An Officer and a Spy」
脚本:ロバート・ハリス、
   ロマン・ポランスキー
撮影:パヴェウ・エデルマン
出演:ジャン・デュジャルダン、
   ルイ・ガレル、
   エマニュエル・セニエ、
   グレゴリー・ガドゥボワ、ほか

公式サイト
https://longride.jp/officer-spy/
(全国の劇場リストもあり)

1894年、フランス。ユダヤ人の陸軍砲兵大尉アルフレッド・ドレフュス(ルイ・ガレル)は無実を訴えるも、ドイツの武官に軍事機密を漏洩したとして、軍籍を剥奪され、通称「悪魔島」と呼ばれる絶海の孤島に島流しとなる。その頃、情報局の局長として新たに赴任してきたピカール少佐(ジャン・デジャルダン)は、局内を案内されると、改革すべき点が多いことに気付く。そして長官室の壁に飾られていたドレフュス大尉逮捕のきっかけとなったメモに違和感を覚える。

72点

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 うーむ、実話の映画化で、悲惨で腹立たしく、また感動的な話でもあるのに、なんだか伝わってくるものが少なかった。構成が悪いとか、演出がわかりにくいとかではなく、単に話がわかりにくい。展開はわかるのだが、なぜとか心情的な部分がどうにもわかりにくかった。これはもともとのセリフのせいなのか、フランス的表現ゆえなのか、字幕の字数制限のためか、日本語翻訳のせいなのか…… よくわからない。ただ、あまり伝わってこなかった。だから事件の展開も理解しづらく、物語に没入しにくかった。決して悪くないのに、楽しめない。ボクの個人的な問題かもしれないが、もったいないなあ、と。

 腐敗した上層部と、あおりを喰らう無力な下層階級という構図は、昔からあって今も厳然と存在する問題。古くて新しいテーマ。いつまでたってもなくならない。「権力は腐敗する」の定説どおり。そこはよくわかるのだが、どうにも感情移入しづらい。途中何度か気を失いかけた。とても残念。ただ、第76回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞・審査員大賞を受賞し、フランスでは高く評価されているらしい。

 銃は、ハンドガンはリボルバーの時代で、当時流行していたナガン系のデザインのもので、フランス軍ならMAS M1873(imfdbではChamelot-Delvigne、シャメロー・デルビンとしている)かMAS 1892(imfdbではSaint-Etienne、サン・テティエンヌとしている)リボルバーだろうと思ったら、両方使われていたらしい。ライフルはルベルMle1886/93(imfdbではMle1886 M93)と、短いカービン・バージョン(imfdbではBerthier Mle 1892 Artillery CarbineとBerthier Mle 1916 Carbineとしている)も使われている。

 この頃からタバコ吸いまくりとは意外だったが、そうか西部劇でもスパスパやってるもんなあ。

 公開2日目の初回、といっても昼近く、新宿の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は15分ほど前に開場。観客層は男性が中年層から高年層で、女性が若年層から中年層といった感じ。男女比は最初4対6くらいで女性の方が多かったが、最終的には4.5対5.5くらいでやや女性が多いかなというくらいに。そして88席に9割くらいの入り。キャパが小さいとは言え、意外。歴史物で、地味な作品なのに。

 シネマチャンネルの後、マスク注意から飲食OKになって半暗に。CM・予告が続いて、マナー、忘れ物注意で暗くなって、足元注意の枠付き映画泥棒、ケロロ軍曹の海賊版で、映写機の左右マスクで本編へ。


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