恐くて、ハラハラドキドキ。そこは見事。でも、もっと面白くなるはずなのに、どう見ても主人公のキャラが悪すぎ。ひねくれすぎていて、ちっともかわいげがない。応援しようという気にならない。むしろその逆。因果応報というか、自業自得と思ってしまう。これは映画として失敗ではないだろうか。ダメからスタートして、映画の終わりには成長して、前を向いて進んでいく姿を描きたいのだとしても、スタートが低すぎるというかマイナスだと、がんばってもプラマイわずかしか進まない。いつも前向きで、明るくがんばっている理想的なタイプでは物語になりにくいとしても、もう少し工夫できたのではないだろうか。 本作がデビュー作という、主役を演じたスカイラー・ダベンポートもかわいそう。実際に視覚に障害がある人だそうだが、とても印象が悪い。デビュー作はもっと良い役でないと。その後で汚れや敵役をやるとしても。これで役を頼みたいと思うだろうか。むしろ悪いイメージを引きずることを配慮して避けるのでは。良かったのはリモートで指示を出すケリーを演じたジェシカ・パーカー・ケネディと、通報でやってくるたった1人の女性警官(!)を演じた、エミリー・ピッグフォード。基本2人ともTVで活躍している人らしい。 ゲームではなく、現実の絵として一人称視点(主観)射撃ゲーム(FSP)を撮りたくて本作を思いついたのではないかという気はした。盲目の少女にビデオ電話でスマホを持たせ、リモートで元軍人に誘導させ戦うというアイディア。銃も持たせて、撃てと命じる。ストーリーはその後考えていったと。そんなふうに思えてしまう。理想的には、描きたいストーリーがあって、その表現としてFSPを取り入れるという形だろう。本当は? ちょっと気になる。 銃は、パトロール警官は最初グロックを持っていたが、なぜか途中からP226に。しかもセフティ・レバーの位置を聞かれて、「下よ」と答えているのに「セフティ・オフよ」と言っていたような。逆でしょ。グロックじゃマニュアル・セフティがないからなあ。黒幕の持っていたリボルバーは、357マグナムの2.5インチあたりか。 公開2日目の初回、といってもほとんどお昼近く、新宿の劇場は10分前くらいに開場。観客層は中高年メインで、最初11人いて、女性は0。最終的には226席に30人くらいの入り。女性は3人くらいいたかなという感じ。うーむ、厳しいかなあ。今後も増えるとは思えない。 スクリーンはビスタで開いており、CM・予告のあとスクリーンのマスクが左右に広がって、シネスコ・サイズで映画泥棒、映倫と続き、暗くなって本編へ。 |