面白かった。原作は読んでいたが、充分に楽しめた。かなり原作に忠実という気がしたし、血まみれながら、たくさん配されたユーモアが程よく効いて、不思議な雰囲気を醸し出している。つまり世界観がちゃんとできているということか。演出も見事だが、脚本がなかなか素晴らしいなと。 この暴力とユーモアが渾然一体となった「デッドプール」的な世界観は、「デッププール2」を手がけた監督のデビッド・リーチならではだろうが、多分に主演のブラッド・ピットに依るところも大きいと思う。そして、多彩な登場人物にピッタリのイメージの出演者たち。実に見事。レモンとみかん(タンジェリン)がいい味を出している。プリンスの少女を演じたジョーイ・キングも一目で悪そうだし、メキシコのチンピラを演じたバッド・バニーは絵に描いたようなコスい感じが良く出ていた。 面白かったのは、同性愛者的な雰囲気の乗客を演じたチャニング・テイタムと、殺し屋の仲介役マリアを演じたサンドラ・ブロックが共演した映画「ザ・ロストシティ」(The Lost City・2022・米)に、ブラッド・ピットがゲスト的に出ていること。そこから2人がブラッド・ピットのこの映画にゲスト的に出たのではないかと想像してしまう。 また考えすぎかもしれないが、主人公のコード・ネーム、レディ・バグ、テントウムシはナナホシテントウで、映画ではセブンを強調していたが、ブラッド・ピットの主演映画「セブン」(Se7en・1995・米)に引っかけている気がしたし、『プランBにしよう』と言っていたのは、ブラッド・ピットの製作会社に引っかけてのことではないだろうか。もっとあったのかもしれない。なかなかくせものの脚本。手がけたザック・オルケウィッツは今後注目かもしれない。ちなみに本編の長さは、新幹線『ひかり』の東京から京都までの乗車時間と同じにしたんだとか。 ただ、走っている新幹線の操縦席の窓を外から割って中へ入るなんて、やり過ぎだと思うなあ。シロートのボクでも、道具を使ったとしても人の力で割るのは不可能だと思うけど。戦闘機のキャノピーと変わらないのでは? そのへんがファンタジーということなんだうか。いかにもハリウッド的な部分かも。 銃は、トカレフ、S&WのM&Pらしいオート、タウルスPT92、.44マグナムM29の4インチ、派手な装飾のメキシカン・タイプの1911オート、G36、チーフらしいスナブノーズ、ドラム・マガジン付きトンプソン、ミニUZI、AKM、MP5K、KG9らしいSMG、SIGのMPXらしいカービン、などなど多彩。 上映前にCMも入るハード・ケースは、アメリカ生まれというTUMI(トゥミ)のものらしい。斜めに入れられた凹凸が印象に残る。 公開3日目の字幕通常版、初回、銀座の劇場は中高年メインで、男女比はほぼ半々。ATMOS上映やIMAX版もある中、456席に8.5割くらいの入り。リクライニング付きのラグジュアリー席にも2〜3人、10席×2列のプレミアム席は2席ほどを残してすべて埋まった。すごい。 CM・予告のあとマナーなどの諸注意から映写機のマスクが左右に広がり、フルになって暗くなり、TCXデモ、足元注意、映画泥棒、映倫と続いて本編へ。 |