まだ公開して1週間しか過ぎていないというのに、上映回数は朝晩の2回、しかも座席はガラガラという悲惨な状況。チケット予約するときなぜなんだろうと思っていたのだが、見てよくわかった。実に気分の悪い映画。ヤクザの乱暴な言葉による罵声の嵐が自分に浴びせられているようで、どんどん気が滅入り、体力も消耗して疲れ果てる。しかも暴力は言葉だけではなく、リアルな銃や刃物や拳による力の暴力もたっぷりてんこ盛り。エンターテインメント作品ではないと思う。これは破滅の物語。エキサイティングでもないし、ポップでもないし、誰も心から笑わない。笑いなんてあるわけない。やられた側も、やった側も、みんな、いかに血まみれになって死ぬかという、そんな話。お金を払って見たいかと言われれば、ノーだろう。 意外な展開も、希望も、学びも成長もない。ひたすらヴァイオレンス。リアルなやばいヤクザの世界。映画としては、感情がよく伝わってくるので、よくできているのだと思う。ただ見たくないかなあ。で、長い! ある種、拷問。 本作で凄いなと思ったのは、ヤクザ役の役者さんたちの演技のうまさ。斎藤工もヤバかったが、特に2人が強く印象に残った。1人は現金を回収するラブ・ホテルの手配をする金髪のヤクザ役の人。名前はわからなかったが、あちこち尖っていて、触るものを誰でも傷つけるような感じがよく出ていた。そして本作で一番凄かったのが、西島秀俊演じる主人公につきまとう元ヤクザを演じた奥野瑛太。もう本物にしか見えない。リアルすぎ。小料理屋で酔っ払った感じも絶妙。こんなにヤクザ演技がうまいと、他の役が全く想像できない。それくらいスゴイ。いろんな作品に出ているようだが……。 銃は、S&WのM360系スナブノーズ・リボルバー、マカロフ、ソードオフの水平二連ショットガン、ソードオフのレミントン、M1100系オートマチック・ショットガン(排莢してる!)、マイクロ・ウージー、イングラム、1911オートなど。銃器特殊効果はビッグショット、納富貴久男。 それにしても結構タバコ吸ってたなあ。役者は大変だあ。 公開9日目の初回、新宿の劇場は10分前くらいに開場。観客層は高寄りの中高年男性メイン。117席に17〜18人の入り。女性は4〜5人。若いカップルが1組。若い男性はほかに1人いたかなあという程度。これはきびしいなあ。 CM・予告の後、マナーから忘れ物注意があって、暗くなり、映写機のマスクが左右に広がりフルサイズのシネスコへ。足元注意、映画泥棒、映倫と続いて本編へ。 |