うーむ、またまたヤクザの世界、ヴァイオレンス映画。言葉の暴力、力の暴力、満載! ただ、ストーリーがちゃんとあって、起承転結、ドラマツルギー的なものがあるので、映画作品として楽しむことができる。そして原田眞人監督の「KAMIKAZE TAXI」(1995・日)的な世界観と、「突入せよ!「あさま山荘」事件」(2002・日)的群像劇と、「クライマーズ・ハイ」(2008・日)的狂騒劇がないまぜになったような、いわば原田作品の集大成的映画。濃厚で多めのセリフを早口で語らせるあたり、聞き取りも困難なくらいで、見る方にも別な緊張感を強いる原田節なのかなあと。 当然ヤクザ演技は皆さんうまい。中でも迫力があって恐かったのは、やはりそのイメージが強い北村一輝。有無を言わさず無理強いする感じが秀逸。そして、もちろんMIYAVIの恐怖を与えるような存在感も見事。「BLEACH」(2018・日)や「ギャングース」(2018・日)のあの怖さ。反面、回し蹴りでボトルを割るシーンはカッコよかった。が、東鞘会の会長秘書、熊沢を演じた吉原光夫や、警視庁の阿内を演じた酒向芳、東鞘会幹部の鼻無し(キャラ設定だけでも恐かったが)を演じた大場泰正、リーゼントの熊沢の妻、佐代子を演じた赤間麻里子といった、あまりイメージの固定していない人たちが、恐くて良かった。超うまい人が演じるのを除いて、イメージが固定したベテランの役者がヤクザを演じるよりずっと良かったのでは。その意味では、お笑いの「はんにゃ」の金田哲も良かった。だいたいの人は「燃えよ剣」(2020・日)から、続けて出ているようで、原田組役者という感じはあるのかもしれない。 ロケ場所の廃ホテルって、ひょっとして「バイオレンスアクション」(2022・日)に出ていたところでは? 銃は、グロック、ベレッタ92、三八式歩兵銃らしい銃剣付き小銃、ベネリM3のショーティっぽいショットガン、1911オート、トカレフなど。銃器特殊効果は、昔から原田作品を手がけているビッグショット、納富貴久男。 公開3日目の初回、新宿の劇場は12〜13分前に開場。観客層は若い人から中高年まで幅広かった。岡田准一や坂口健太郎、松岡茉優といったスターたちのパワーかなあ。最終的には200席に4割くらいの入り。男女比は7対3くらいで男性が多かった。意外に女性が多い。この辺もスター・パワーか。8席あったプレミアム席は6席が埋まった。すごい。 CM・予告から、各種注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がって、シネスコ・フルで本編へ。 |