2022年10月1日(土)「1950 鋼の第7中隊」

長津湖・2021・中・2時間55分(IMDbでは2時間56分、中国版3時間5分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、河合彩子/シネスコ・サイズ(ドルビーVISION、Arri 65、IMDbでは2.39、RED)/ドルビーATMOS(公式サイトでは5.1ch、)
(日R15+指定)

公式サイト
https://1950-movie.com
(全国の劇場案内もあり)

72点

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 ものすごい物量によるモブ戦闘シーン。3D-CGもふんだんに使われていると思うが、中国の広大な土地と人民軍を使った本当のモブ・シーンに圧倒される。たぶん他の国では実現不可能だろう。だから最近の「キングダム2 遥かなる大地へ」(2022・日)でも大規模戦闘が描かれているけれど、説得力というのか、質感とでも言うのか、やはり違いがある。しかも1950年の朝鮮戦争当時の戦車や航空機(これはCGか)、火砲、車両、小火器、装備、軍服などもそろえて、当時を再現するというのは並大抵のことではないだろう。その上ほとんど戦闘シーン、それも乱戦状態で、カット数も半端なく多くて、良く撮ったなあと。とんでもないお金と時間が掛かっているはず。それがすごい。他にできるとしたらインド映画くらいか。

 とはいえ、ボクのようなスレた観客にはどうにも作りすぎのプロパガンダ映画に見えてしまう。史実に基づいた映画であるにもかかわらず、中国の名も無き英雄たちが、劣った装備でも、訓練もほとんどされていないシロート同然の状態でも、団結力や強い信念によって強力なアメリカ軍を討ち破ることが出来たとか、今の中国を作ったといった構成は、どうにもリアリティがなく陳腐に見えてしまう。国際的なベテラン監督を3人そろえても、どうにもならなかったのだろう。今の中国で映画を撮って公開するためにはこうしなければならなかったのか。

 やっぱり感じるのは、戦争は悲惨で、やってはいけないということ。国の指導者が戦争の決断をすると、即座に大きな悲劇が起こる。何も良いことをもたらさない。せいぜい兵器が進化するくらい。絶対に他の解決方法を模索しなければならないと。国の指導者は自分の息子も戦場に送っているとか関係ないだろ、と。なんだか今ウクライナで起こっている事ともつながるし、人類は昔から同じ事を繰り返してきているとも言えるし。だからか、あまり勇ましさとか、団結力とか、愛国心といったものは、強く感じられなかった。さすがに時代が変わったということか。中国ではこれで盛り上がるのだろうか。

 銃は、中国軍は最初、旧日本軍のものを使っていたようで、三八式(あるいは九九式か両方か)、九九式軽機関銃などが見られる。拳銃はC96モーゼル。ほかにモーゼル系のライフルと、ステンMk II、ZB26マシンガンも。いったい弾薬の補給はどうしたんだろう。ヘルメットも旧日本軍のものっぽかったが…… アメリカ軍はM1カービン、M1ガーランド、M3グリースガン、1911オート、1919マシンガン、M2マシンガンなど。後半、中国軍はアメリカ軍から鹵獲した銃を使う。マシンガンはトレーサー弾も使っていたようだが、どうやって撮影したのだろう。3D-CGか。

 戦車はM4シャーマンのイージー・エイトとM26パーシング、そして装甲車のM8グレイハウンドも。航空機はどれも3D-CGっぽかったが、F4Uコルセア、A-1スカイレイダー、B-26インベーダーなど。

 時代を反映してか、毛沢東はばんばんタバコを吸っていたなあ。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は15分前くらいに開場。観客層は、高寄りの中高年男性メイン。最終的には98席に55人くらいの入り。女性も高寄りで13人くらい。若い人は5〜6人いたかというところ。うーむ、今後、増えるとは思えないし、こんなものか。

 シネマ・チャンネルのあとマスク注意と飲食OKが出て半暗に。CM・予告からマナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がりフル・サイズになって、ちょっとまぶしい足元注意、映画泥棒、映倫と続いて本編へ。


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