2022年10月2日(日)「“それ”がいる森」

2022・「“それ”がいる森」製作委員会・1時間47分

シネスコ・サイズ(撮影機材表記なし)/音響表記なし(サラウンド?)
(4D上映もあり)(“それ”がいる森への招待状」の配布あり)

公式サイト
https://movies.shochiku.co.jp/soregairumori/
(全国の劇場案内もあり)

70点

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 うわっ、やられた! てっきり中田監督なのでホラーだと思って見に行ったら、違った。これは、たぶん「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」(It・2007・米/加)的なものを狙ったのだろう。タイトルがそのまま。ああ、それに気がつかなかった。ところがちっとも怖くなく、ホラーじゃなかった。イットじゃなくてシット?

 むしろ「エクスプローラーズ」(Explorers・1985・米)的SF冒険ファンタジー。そして、一見、相葉雅紀演じるお父さんが主人公のようだが、少年というか子供が主人公のジュブナイルだ。作りもあまり大人向けとは言えない気がする。どうにも展開や設定に無理があるというか、パターンでありながら、納得できない。脚本に問題ありではないだろうか。警察はいつもどおり無能。相葉パパも優しいようで怒鳴り散らすし、子供が逃げてくるのに信頼されてないという矛盾。体液は青のはずが、ラストでは赤になってるし…… あちこち気になる。そしてとにかく説明的セリフが多い。「ちげーよ」とか、今どきのしゃべりかたを取り込んでいながら、ちっともリアリティがないし。生の言葉というよりセリフという感じ。1人になれば今度は独り言をバンバン言うし。言葉で説明しなければならない映画って……。

 “それ”の造形はなかなか見事で、意外さもあり、怖い感じもした。クライマックスの戦いは、ちょっとだけ盛り上がった。でもやっぱりハリウッドにはかなわないんだなあと、つくづく思わされる。足音の重さの割にスレンダーで小柄だし、服も着てなくて裸だし、人をを丸のみにしてもサイズがかわらないし…… なんだかんだ、結局その辺、ハリウッドはうまい。普通のホラーが見たかったなあ。

 音はサラウンドというか、やたら大きく、音で脅かす感じ。それも力任せに。ただ音質は良いような。一方画質は日本映画的で、解像度が低く、粒状性も悪く、色調も黄ばんだ感じがどうにも古い映画みたいだし。

 銃は、最初の強盗カップルの男がベレッタ92のようなオートマチックを持っていて、後半、警官がホルスターに入れていたのはM360Jサクラか、ニュー・ナンブか。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は17〜18分前に開場。ただ、すぐにエスカレーターで上がっていったのだが、もう予告が始まっていた。えっ、誰に向けて上映しているの。場内にもほとんど人はいなかったし。暖機運転というかアイドリング的なこと? 観客層は若い人から中高年まで幅広かったものの、前日の舞台挨拶の反動か、極端に少ない感じ。最終的には301席に15人くらい。女性は5人くらいで、若い女性は2人ほど。朝早めだとしても、ちょっと……。

 スクリーンはシネスコで開いていて、映写機の左右マスクでCM・予告。途中で半暗になり、マスク着用から暗くなり、映写機のマスクが左右に広がり、本編へ。


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