2023年2月17日(金)「崖上のスパイ」

CLIFF WALKERS・2021・中/香・2時間00分

日本語字幕:丸ゴシック体下、白井みどり/シネスコ・サイズ(MOVECAM、IMAX、ドルビーVISION、IMDbでは2.35、Sony CineAlta、GoPro)/ドルビーATMOS、dtsX(IMDbでは表記なし。公式サイトでは5.1ch)
(加14A指定、日RG12指定)

公式サイト
https://cliffwalkers-movie.com
(全国の劇場リストもあり)

77点

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 恐い映画。いつ正体がばれるのか、いつ捕まるのかわからないハラバラドキドキの物語。ちょっとヒッチコック・タッチな部分もありながら、残酷表現はかなり強烈。えぐい。そして、あまりに辛い運命、物語。スパイと二重スパイが交錯するスパイ・アクション。崖の上を歩くと言うより、最初から死を覚悟した決死隊だったと。なのに凄惨な物語とは対照的に、絵がきれい。

 ちょっと実話のような雰囲気。実際にはチュアン・ヨンシェンの原作を、チュアン・ヨンシェン本人とチャン・イーモー監督が脚本化したもの。どうやら史実に基づいて作られたオリジナル・ストーリーということらしい。

 監督は「HERO」(英雄・2002・香/中)や「LOVERS」(Lovers・2004・中/香)のチャン・イーモー。2022年の北京冬季オリンピックの開会式と閉会時の演出も務めている。最後に見たのは「SHADOW/影武者」(Shadow・2018・中/香)だったが、やぱりうまいなあと。ただ監督デビュー作の「紅いコーリャン」(紅高梁・1987・中)は多くの映画祭で受賞したものの、日本人的には国辱的な作品として嫌う人も多いと聞く。残念ながらボクは見ていない。

 キャスト的に面白いのは、日本の俳優に似た人が多いということ。潜入スパイの1人、子供が浮浪者となってホテルでたむろしているというチャン役のチャン・イーはどこか陰気な大泉洋という感じだし、その妻のワン・ユー役のチン・ハイルーは鶴田真由に似ているし、特務警察のジョウ役のユー・ホーウェイは宝田明似、冷血なジン役のユー・アイレイは笹野高史に似ているという感じ。実際はともかく、スクリーンでは似て見えた。同じアジア人の血ということかなあ。映画的にも、どことなく日本映画の1950〜1960年代くらいのものの雰囲気があるような気も……。

 銃は、だいたいハゲハゲの使い込まれた雰囲気のオールド・ガン。トカレフ、FN M1910オート、1911オート(ハイパワーもあったかも)、たぶんコルトのM1903オート、モーゼルM712、モーゼルC96、S&Wのミリ・ポリっぽい4インチのリボルバー、三八式歩兵銃らしいボルト・アクション・ライフル、モシン・ナガンM1891/30らしいボルト・アクション・ライフルなどが登場。銃声は乾いた甲高い感じでリアルる。恐い。

 公開8日目の初回、新宿の劇場は12〜13分前の開場。すぐにエレベーターで上がるともうCM・予告が始まっていた。たぶん1番乗りくらいだった。エスカレーターで上がると時間が掛かり10分前を過ぎることがあるが、誰のために上映しているのだろうか。もったいない。それだったもう少し早く入れれば良いのに。観客層は、第二次世界大戦直前の1934年、しかも舞台が満州ということでか、高齢者がメイン。男女比は、最初11人いて、女性は2人というところ。その後、女性は3割くらいまで増えただろうか。最終的には124席に40人くらいの入り。金曜日も平日と考えれば良い方か。

 スクリーンはヨーロッパ・ビスタくらいで開いており、CM・予告の途中で半暗になって、上下マスクの映画泥棒、枠付きのケロロ軍曹の海賊版と続いて、再び予告の後、マスク注意から暗くなってマナーで、ビスタ・フルの本編へ。


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