フェイブルマンズ、と複数形であることから(Theもついているし)家族の物語であることはわかる。一家というか、主人公の成功前の物語。ただ女兄弟の物語は希薄。父と母と自分という感じ。ちょっとわかりにくい気もしたが、いろいろ辛いことがあって、ユダヤ人で差別されて、イジメとかもあって、家族がバラバラになって、くじけそうになるけれど、それでも人生は続いていくと。そして夢というか望みがあれば、どんな辛いことも乗り越えていくことができる、ということだろうか、無理して解釈すれば。そして半生だから長い。長すぎるんじゃない? ただ、スピルバーグだから期待してしまうのか、普通のドラマでちょっと肩すかしのような。もっとコミカルで立身出世的な物語かと思ったら、リアルな人生ものという感じで、ちょっと凹んだ。落ち込む。見終わって、明日からもがんばっていこうという気分にはならなかった。むしろ自分の人生はどうなっていくんだろうかとか、考えてしまった。 映画では、お金がないということは何回か出てきたと思うが、8mmカメラが買えたりする裕福な家庭。日本の感覚からすると、中の上、いや上か、そんな感じ。父は優秀なコンピューター技術者で、母は自由奔放な芸術家のピアニスト。だから息子の芸術性を伸ばそうとすると。でも、手のために洗い物は避け、食器は紙で、食べ終わったらそのまま捨てるなど、普通の家庭とは違ったと。うむむ……。 最大の驚きは、映画監督のジョン・フォード役であの監督が出ていること。貫禄というのか存在感があって恐かった。びっくり。未見の方はお楽しみに。そして、やっぱりミシェル・ウィリアムズは良かった。きれい。とても魅力的。「彼が二度愛したS」(Deception・2008・米)の衝撃を思い出す。 カメラにまつわる顛末、機種名などは映画マニアというような共通点からか、「バビロン」(Babylon・2022・米)とよく似ていた。16mmカメラにNIKKORという文字があったようだけど、ニコンの? 高校の、ちんぴらっぽいいじめっ子を演じたのはオークス・フェグリー。ファンタジーの「ピートと秘密の友達」(Pete's Dragon・2016・米)や「ワンダーストラック」(Wonderstruck・2017・米)で主演を演じていた子役だった人。さすがにうまくて、本作ではとても憎たらしい。あんなにかわいかったのに。印象に残る。 銃は、8mm映画の中で使われるトイガンで、SAA(射撃シーンで、フィルムの1コマに穴を開けて、マズル・フラッシュのような効果を出したらしい)、そしてモデルガンのようなトンプソン、MP40など。 公開11日目の平日、初回、銀座の劇場は、15分前くらいに開場。さすがに平日初回は観客が少なく、最初5〜6人のみ。女性は3人。ほぼ中高年で、引退した人か、今日が定休日の人だろうか。ギリギリで来た若いカップルはたぶん大学生というところ。最終的には456席に35人とか40人という感じ。10席×2列のプレミアム席には、少なくとも1人は座った。前のラグジュアリー席は見えなかった。 7〜8分前からシネマ・チャンネルで、新しいマスク・エチケットのあと半暗になり、CM・予告からマナー、忘れ物注意、ローレックスのCMのあと暗くなると、足元注意、枠付きの映画泥棒、映倫ときて、映写機の左右マスクで本編へ。 |