どうしてもB級出まくりのニコラス・ケイジ作品だから、内容の薄い、チープなものを想像してしまいがちなのだが、どうして、なかなか気合の入ったアクションだった。ギャグはちゃんと笑えるし。「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」(Prisoners of the Ghostland・2021・米/日)なんか酷かったからなあ。ニコラス・ケイジはジャン=クロード・ヴァン・ダム化、またはブルース・ウィリス化(古くはロイ・シャイダー化?)しているのではないかと思っていたら、本作は良かった。 感心させられたのは、アクションはスピード感もあって、恐くて、かなり本格的なのに、コミカルな味付けで実際に笑える仕上がりになっていること。そしてB級の雰囲気はタップリありつつも、リアルな俳優人生と、大人のファンタジー的スパイ活劇を組み合わせていること。さらに映画オタク的、ニコラス・ケイジおたく的な要素もきっちり盛り込んでいるのもスゴい。これだけ盛りだくさんで、普通なら支離滅裂でまとまりが付かなくなっているところを、キッチリ1つの作品としてまとめているのもスゴい。それでもB級感はにじんでくるのだが、ちょっと感動した。 ニコラス・ケイジ・ファンにはたまらない、出演作品のタイトルが盛りだくさん。一部は映像もある。この辺はニコラス・ケイジがプロデューサーを務めている関係もあるのだろう。きっと脚本も手がけた監督のトム・ゴーミカンという人はニコラス・ケイジの大ファンに違いない。そして出演作の1本「フェイス/オフ」(Face/Off・1997・米)に出てきたカスタム・ガンが、撮影に使用された本物なのか、本作のためにリメイクしたのか、不明だが、その後の展開に重要な役割を果たすのもいい。 映画ファンには映画談義も楽しめるはず。ニコラス・ケイジが質問する「ベストの映画は何だ」に、いい味を出しているペドロ・パスカル演じるギャングのボスが答えて、ベスト1は「バディントン2」! おじさん2人で見て泣く。 ニコラス・ケイジの娘を演じた美女、リリー・シーンは、マイケル・シーンとケイト・ベッキンセールの娘なんだとか。お母さんが出演した「アンダーワールド:エボリューション」(Underworld: Evolution・2006・米/加)でスクリーン・デビューしたらしい。もっと映画に出て欲しいなあ。ラストに、ニコラス・ケイジの別居中の奥さんを演じる本人役でデミー・ムーアがカメオ出演的に登場。これもびっくり。 銃は、「フェイス/オフ」に出てきた金めっきのスプリングフィールドの1911 V12カスタム2挺、上下二連ショットガン、グロック、ワルサーP99らしいオート、MP5、SIG SG551、USPコンパクト、M4カービン、車から撃つマシン・ピストルは、imfdbによるとブルッガー&トーメのUSW-A1だと。 原題は「巨大な才能の耐えられない重さ」ということになるらしい。 公開2日目の2回目、新宿の劇場は10分前くらいに開場。すぐに上がったが、すでにCM・予告が始まっていた。もったいない。観客層は若い人が多めで3割くらい、あとは中高年。女性も3割くらいいたか。ちょっと意外。ニコラス・ケイジのB級アクションで? 最終的には127席に95%くらいの入り。ほぼ満席。これまた意外。 スクリーンはビスタで開いていて、CM・予告の途中で半暗になり、上下マスクの映画泥棒、映倫、があって予告が続き、暗くなって枠付きのマナーから映写機の上下マスクで本編へ。次の上映作品を考えての設定だろうか。うむむ……。 |