ひと言で言えば、SFサバイバル・スリラー。遭難、不時着、脱出の物語。シンプルで特化されているだけに、わかりやすく、なかなかハラハラドキドキ。ただ、それだけで、何もなし。病気の娘とか、地球と巨大隕石の衝突とかは、味付けのための設定という感じでしかない。登場人物もほぼ2人のみという、超コンパクト映画。予算の大半はCGと大物俳優の出演料ではないかと思えるほど。内容的にもよくある設定で(流砂とか古くない?)、大きな仕掛けもない展開で、たいしたものも出てこない映画では、アダム・ドライバーでも出てこないことには見ないかなと。 立体的で迫力のある音響、実際に撮影されたかのようなリアルな恐竜などはすばらしい。そして6500万年前の地球を表現する自然環境も、それらしい場所で撮影されているようで、すばらしい。 とはいえ、脱出の物語は「クワイエット・プレイス」(A Quiet Place・2018・米)の脚本家チーム、スコット・ベックとブライアン・ウッズが手がけているだけに、「クワイエット・プレイス」と一緒という印象。恐竜部分はほとんど「ジュラシック・パーク」(Jurassic Park・1993・米)だし。 特に気になったのは、細部の一貫性のなさ。何度も危機にあって、その度どうにかサバイバルしてもどってくるのだが、どうも見ても背中に背負っていた装備を失っているのに、いつの間にか次にはすっかり復活している。どうなってるの? スクリプターを雇わなかったのだろうか? ハリウッド・システムでそれはないような気がするんだけど、予算をCGに持って行かれた? 地球外の生物、宇宙人だが、主人公は英語を話し(少女は別な言葉を話すが)、文字はオリジナルらしい見たこともないものを使う。映画としては微妙なところ。日本人的にわかりにくかったのは、最初に人工冬眠カプセルのようなものから救出した女性と、後に船外で見つける少女が同じ人物だということ。カプセル内では大人に見えた……。 銃は、SFブラスターでバッテリー式のような感じ。チャージして使っているようだが、アップでないときに撃つと、マズル・フラッシュのようなものが出ていたから、タイミングを合わせるため空砲が撃てるシステムなのかもしれない。なかなか良いデザインだと思ったが、サイトがバック・アップ・サイトのような感じなのはいかがなものかと。 公開2日目の初回、といってもほぼお昼だが、新宿の劇場は10分くらい前に開場。しかし、二次元バーコード入場になったためか大混乱。若い人であふれかえっていたから、直前にアニメ系の作品が開場したのか。ほとんどの作品が全回、残席わずかの黄色表示か、完売の赤表示だったのに、「ワイスピ」のATMOS上映と「マリオ」の日本語吹替版と、この「65」だけがほぼ全回白。「マリオ」はお昼頃が1回黄色になっていたが……。 観客層は若い人から中年層がメイン。高齢者は少なかった。女性は最初35人くらい中の4〜5人と言った感じ。最終的には122席の7.5割くらいが埋まった。悪くはないと思うけれど、やはり見たいと思わせる要素が少ないのかも。 CM・予告の途中で半暗になり、マナーから忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がって、足元注意、フル・サイズの映画泥棒、映倫と続いてシネスコ・フルの本編へ。 |