2023年8月15日(火)「バービー」

BARBIE・2023・米/英・1時間54分

日本語字幕:手書き風書体下、野口尊子/ビスタ・サイズ(左右と少し上下マスクで上映。Arri & Panavision、IMDbでは2.00、Arri ALEXA 65)/ドルビー(IMDbではドルビー・デジタル)
(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)

公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/barbie/
(全国の劇場リストもあり)

76点


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 面白かった。楽しめた。ただ、どこがどうとはうまく言えないが、ちょっと悪夢的な感じはした。毒があるような……。

 いってみれば、これは「トイ・ストーリー」(Toy Story・1995・米/日)の実写版で、「ピノキオ」(Pinocchio・1940・米)的でもあり、恋はしないけれど「リトル・マーメイド」(The Little Mermaid・1989・米/日)的な面もあるかなあ。人形のイマジネーションの世界と、人間の現実世界が描かれているが、人間世界もファンタジーになっていて、おなしな人々が多い。つまりは全体が大きなファンタジー。人間世界をリアルに描くと、物語は成立しなくなってしまうだろう。ちょっとトム・ハンクスの「ビッグ」(Big・1988・米)的な感じもした。そしてミュージカルだよなあ。

 まあ、とにかく見事なのは、バービー・ランドの世界観。ピンクを基調としたパステル・カラーのきらびやかな世界。衣装も、着せ替え人形(ファッション・ドール)らしく豪華絢爛。2.5Dのような表現と(「月世界旅行」(Le voyage dans la lune・1902・仏)的な?)、ミルクやシャワーも実際には何もなく、その振りだけと言うゴッコ世界がイイ。逆に本物のお茶でむせてしまのがおもしろい。

 やっぱりマーゴット・ロビーが憧れを集約したような完璧なバービーで、素晴らしい。役者さんはみな日常がないというか、生活感のない雰囲気、プラスチック感が見事。とくに印象に残るのは、へんてこバービーのケイト・マッキノン。そして気がつかなかったが、ナレーションはヘレン・ミレンらしい。海のケンは「ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結」(The Suicide Squad・2021・米)や「ワイルド・スピード/ジェット・ブレイク」(F9・2021・米)のジョン・シナで笑った。

 いろんな映画の要素も入っているようで、この監督はすごい映画ファンなのかも。冒頭は「2001年宇宙の旅」(2001: A Space Odyssey・1968・英/米)で、FBIが人形が2体逃げたと待てるに言ってくるところなんかは「ブレードランナー」(Blade Runner・1982・米)かと思った。部屋にはシルベスター・スタローンのポスターもあるし、

 もちろん銃はなし。戦争になっても、使われるのはラケットとボール。

 ラストは、よくわからなかったが、「股間がツルペタ」から来ているんだろうか。

 公開5日目の平日初回、日比谷の劇場は30分前くらいに開場。昔と違って建物内のロビーとかで、並ばずに待てるからいいけど、早く開けてくれるのは嬉しい。平日の朝から映画が見られる人というのは…… 多くは高齢者の男性。リタイアした人たちだろうか。女性も中年層よりはやや高寄りだったが、若め。だいたい映画で高齢女性は少ない。若い女性は多めなのに。上映ギリギリに増えてきて、最終的には456席に5.5割くらいの入り。多くてビックリ。お盆休みかな。男女比は5.5対4.5くらいで、ちょっと男性が多い感じ。若い男性はいなかったが、若い女性はいた。10席のラグジュアリー席は見えなかったが、10席×2列のプレミアム席は4〜5人。

 シネマ・チャンネルのあと半暗になり、非常口ランプも消え、予告から、スパイ・ファミリーのマナー、忘れ物注意ときて暗くなり、足下注意、映画泥棒、映倫で、映写機の左右とちょっとだけ上下のマスクで本編へ。ワーナーのWBロゴもピンクなのには笑った。

 このスクリーンは低音が凄いので、こういうポップで軽快な作品でも、重低音で振動を感じる。エンド・クレジットでは、画面の横に歴代のバービー人形が紹介され、ビデオ・ガールとか本当にあったんだなあと。ロールは黒バックにピンクの文字。タイトルが光って終わり。


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