良くできたミステリー、謎解き。画が美しく映画的で、古い楽曲が1947年という時代を感じさせ、良くできた脚本に、巧妙な演出、イメージどおりのキャスティングと説得力のある演技などが相まって上質な映画になっている。名探偵ものにありがちな、その名探偵が出てきたことによって犠牲者が増えたり、悲劇が大きくなったりということはない。ただ事件の拡大は防げないが、それは探偵がいてもいなくても起こっていたことだ。 おそらくすべての伏線は回収され、霊的な現象なのか、人間の仕業なのかも明らかになる。ちゃんと納得できる結末。原作がこうなっているのか。まずメインの事件とは関係のない別の謎が解け、次に意外な事実が明らかとなり、最後に過去と現在の謎が解ける。三段オチではないけれど、この構成がうまい。そして演出がうまいので、ホラー的な部分はかなり恐い。しかもベニス(ベネチア)の古い建物がその雰囲気を大いに高めてくれる。隠し部屋や過去のおぞましい事件もある。霊が出てもおかしくないシチュエーション。まさにミステリー。仮面は盛り上げの定番ながら、この地だと逆に使わないとおかしいかも。 まあ、とにかくキャスト全員が怪しい。そこがまたうまい。特に良かったのは、自信に満ちた怪しげな霊能者、自身はサイキックではなくミディアム(仲介者)だと言っていたが、ミシェル・ヨー。ボク的にはアカデミー賞主演女優賞を受賞した「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(Everything Everywhere All at Once・2023・米)よりずっとこちらの方が良かったと思う。 残念ながら銃はなし。それより串刺しなどというもっと残酷な手法が使われている。かなりショッキング。 公開2日目の初回、日比谷の劇場は20分前くらいに開場。いつもどおり中高年がメインで、若い人は少し。大学生くらいから、珍しく高齢女性もいた。女性の方がやや多い感じで、その比は4.5対5.5くらい。最終的には257席に7.5割くらいの入り。8席あったプレミアム席も6席ほどが埋まった。 シネマ・チャンネルのあと半暗になって、CM、非常口案内からランプが消えて、予告、「SPY×FAMILY」のマナー、忘れ物注意、足元注意の映画泥棒、映倫と続いて、映写機の左右マスクのまま本編へ。 |