怖い映画。ほんど「ヘルドッグス」(2022・日)と似たようなバイオレンスによるホラー映画。特に強烈な暴力は、言葉。罵声、怒声、暴言、悪口雑言…… 関西弁(大阪弁?)による汚くて、攻撃的で、恐ろしい耳から入ってくる暴力。そしてナイフや銃による、血まみれの目から入ってくる暴力。どや街のようなところでうごめく底辺の人々、オレオレ詐欺に関わる人々、博打場に集う人々、半グレ、IT企業のパワハラ独裁者、そこにヤクザがかった刑事たち…… まともな人は誰も出てこない印象。とても気分が悪くなる。 救いは、宇崎竜童演じる落ちぶれたヤクザ曼荼羅のエピソードと、安藤サクラ演じる主人公の煉梨(ネリ)と、山田涼介演じる血のつながらない弟、穣(ジョー)の絆的なものが感動的に描かれていること。これがなかったらただの暴力映画になってしまったのではないだろうか。 気持ちが大きく動かされるということは、たぶん映画としては良くできているのだろう。とはいえ、見たいかどうかでいうと、見たくない方に入るかなあ。お金を払ってこんな気分は味わいたくない。だからなのか、あまり大々的に宣伝されておらず、劇場も小さなキャパのスクリーンがほとんど。大きいところを探すのに苦労した。 銃は、トカレフ、ベレッタ92、ベレッタM950らしいポケット・ピストル、グロック、SW360Jサクラらしい2インチ・クラスの警察拳銃など。銃器特殊効果は「ヘルドッグス」(2022・日)でも担当したビッグショット、納富貴久男。 画質はビデオっぽい感じで、邦画にありがちなコントラストの低いもの。全体に白っぽいというか、力がないというか…… なぜなんだろう。ライトをあまり当てず、ドキュメンタリー的に撮っているからだろうか。最初は日本の気候、風土のせいかとも思ったが、日本ロケした海外作品ではしっかり力強い画になっていたりするので、撮り方の差なのではないかと。あまり好きじゃないなあ。 タイトルのBAD LANDSはお店の名前だったのね。それがハリウッド映画のどれかのタイトルにかさなっているのだろうか。原作は黒川博行の『勁草』。 公開2日目の初回、日本橋の劇場は24、25分前くらいに開場。最初8人くらいいて、中年男性メインで、女性は3人。最終的には226席に50人ほどの入り。男女比は6対4くらいで、男性多め。ただこのバイオレンスで女性も多めだったのは、安藤サクラと山田涼介のおかげだろうか。9席あったプレミアム席は7席ほどが埋まった。 11分前くらいから曲と劇場ロゴが流れて、8分前くらいからシネマ・チャンネル。それが終わると半暗になって、CM、予告。途中で非常口案内のあとランプが消え、ラストにSPY×FAMILYのマナーから忘れ物注意で暗くなり、シネスコのフル・サイズで足元注意、映画泥棒、映倫と続いて東映ロゴから始まる本編へ。 |