2023年10月1日(日)「ハント」

HUNT・2022・韓・2時間05分(IMDbでは2時間11分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、福留友子/シネスコ・サイズ(IMDbでは2.39、Arri mini LF)/音響表記なし(公式サイトでは5.1ch。IMDbではドルビー・デジタル)
(韓15指定、日PG-12指定)

公式サイト
https://klockworx.com/huntmoviejp
(情報少。全国の劇場リストはあり)

76点


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 1980年代の実際の出来事に基づいて作られたフィクション。最初に字幕でそう出る。そうしないと実際に起こったことのように捉えてしまう人が出てしまうかもしれないほど、リアルな設定と構成。かなり怖い。製作・脚本・監督は、なんと主演のイ・ジョンジェが務めている。素晴らしい才能。

 旧KCIAの後身となる国家安全企画部は、国内班と国外班があって、それぞれに諜報戦を展開していて、北のスパイが入り込んで情報を漏らしていることが判明し、お互いがお互いを監視するような事態となっていくという設定が面白い。誰もが怪しい。そして昔のことなので、捜査というか取り調べはほとんど拷問。学生であろうが、女性であろうが、味方であろうがもまったく容赦しない。金大中事件的に日本も舞台にスパイ・アクションが展開する。北は日本でも構わず銃撃戦を仕掛けてくる。本当にあるかもしれない。

 役者は大変だ。拷問シーンはかなり過激。もちろん監督を務めるイ・ジョンジェ自身も、片腕だけで引っぱられ吊り下げられたりしている。本当に大丈夫なのか?と思ってしまうほど。この人、最近ネット・ドラマの「イカゲーム」で注目されているが、古くはハリウッドでもキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックでリメイクされたラブ・ストーリーの原作「イルマーレ」(Il Mare・2001・韓)で主役の青年を演じていた人。残念ながらボクはリメイク版しか見ていない。ボクが見たのは「黒水仙」(The Last Witness・2001・韓)だったような気がするが記憶がハッキリしない。次に見たのが傑作ファンタジー「神と共に 第一章:罪と罰」(Along with the Gods: The Two Worlds・2017・韓)の閻魔大王で、そして衝撃的な「ただ悪より救いたまえ」(Deliver us from evil・2020・韓)を見て、なんとスゴイ人なのかと思っていたら「イカゲーム」で一気に超有名になった。コミカルな役からサイコ・キラーまで、なんでも演じられるうえに、脚本化としても、監督としても才能あるとは、もう天才としか言いようがない。

 もちろん共演のチョン・ウソンも素晴らしい。「デイジー」(Daisy・2006・韓)とか「グッド・バッド・ウィアード」(The Good the Bad the Weird・2008・韓)をすぐに思い浮かべてしまうが、最近だと「藁にもすがる獣たち」(Beasts That Cling to the Straw・2020・韓)で見た。ほかにも「ただ悪より救いたまえ」でイ・ジョンジェと共演したファン・ジョンミンが亡命パイロット役で出ていたり、友情出演というかカメオ的出演で有名俳優が出ているらしいが、公式サイトに一切解説なし。残念!

 銃は、イングラムM11(ロング・レシーバー)らしいSMG、1911オート、AK47、M16A1、トカレフ、Vz61スコーピオン、MSG90らしいスナイパー、M60マシンガン、など。

 たぶん時代感を出すためだろう、タバコを吸うシーンが多かった。吸わない人は気になるかも。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は映画の日ということで大人料金が1,300円となるためか、大混雑。下のエレベーターにも整理のスタッフが出ていた。当然ロビーも大混み。15分前くらいに開場。観客層は意外と若い人が多めながら。メインは中高年。男女比は半々という感じ。この劇場はドルビー・シネマを導入したときにリューアルしたのか、スクリーンが明るくなって、音も良くなった気がする。イスは明らかに変わっている。良かった。最終的には226席の5割くらいが埋まった。まあ、料金が安いと若い人も見るのかなあ、と。

 スクリーンはフルのシネスコで開いており、8分前くらいから曲とお知らせが流れ、予告になって、マナーのあと半暗になり、CM、予告。映写機のマスクが左右に広がり、フルになって映画泥棒、映倫と続いて、暗くなり、本編へ。

 画質も良くなったような気がする。何か得した気分。


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