うーむ、強烈な映画。血まみれで、エキセントリックで、ボーイズ・ラブというかおっさんずラブな時代劇。実際、戦国時代の武将に同性愛が多かったという話を聞いたことがあるので、納得の設定かなと。展開がわかりやすい。映画的に良くできていて、怖かったが楽しめた。 溢れんばかりのバイオレンスは、北野作品らしさの真骨頂で、たぶん「アウトレイジ」シリーズの上を行く。そこに「座頭市」(2003・日)的なタップ・ダンスと、芸人的なギャグも盛り込んだと。もちろん海外展開も考えられているようで、忍者もキッチリ取り込まれている。結局は戦国武将もヤクザも似たようなもの、という解釈になるのだろうか。 最大の功労者は3D-CGかもしれない。1カットでそれまで動いていた人の首が飛び、血を吹いて転がる。腹を刀が貫通し、切り裂き、リアルに、冷徹に見せていく。ただ、冒頭のいくつかのシーンは、いかにも別々に撮られたように見える感情のつながりが感じられないカットがいくつかあり、ノレなかったが、次第にそんなことはなくなっていった。 音も良く回り、後方から音がしたり、合戦シーンなどは、ものすごい迫力。音は大事。 登場人物は、北野作品らしく基本全員悪人という感じで、役者は皆良かったが、中でも良かったのは、織田信長を演じた加瀬亮。常に血管を浮き上がらせてハイテンションな狂人といったイメージを説得力をもって演じている。ものすごい迫力。とにかく恐ろしい。 そして農民から武士に成り上がろうとする茂助を演じた中村獅童も、歌舞伎役者という雰囲気は全くなく、底辺であがくセコイ男を実にリアルに演じている。さらに挙げるとすれば、黒田官兵衛を演じた浅野忠信も、やや時代劇の王道からは外れる気もするが、むしろ現代的な物言い、セリフ回しの武将像が新鮮で良かった。これまた実に自然。芝居がからず、変に力みがない。 もちろん豪華な衣装、あっと驚くような美術、合戦シーンの地響きがするような迫力の音響、特殊メイクの延長か、特殊効果のうちなのか、小道具の一部なのか、とにかく生首の出来も良かった。それぞれにお金が掛かっているなあ。 銃は、軍の鉄砲隊が火縄銃、甲賀の忍者、般若の佐兵衞がパーカッション・ピストルを使う。ガン・エフェクトはBIG SHOT納富貴久男。 公開3日目の初回、日比谷の劇場は30分ほど前に着いたらすでに開場済み。時代劇ということもあってか、ほぼ中高年。最初7〜8人。20分前くらいで12〜13人になり、女性は3人ほど。そこからどんどん増えていき、最終的には456席に4.5割くらいの入り。10席あったデラックス席は、よく見えなかったが少なくとも2席は埋まっていた。10席×2列のプレミアム席は満席となった。 10分くらい前からシネマ・チャンネル。終わって曲とTOHOロゴになり、半暗になってCM・予告。SPY×FAMILYのマナーで暗くなり、映写機のマスクが左右に広がって、TCXデモ、足元注意、フルの映画泥棒、映倫と続いて、東宝ロゴにから始まる本編へ。 |