2023年11月26日(日)「ロスト・フライト」

PLANE・2023・英/米・1時間47分

日本語字幕:丸ゴシック体下、高内朝子・航空用語監修:小林宏之/シネスコ・サイズ(Arri、IMDbでは2.39)/表記無し(IMDbでは5.1サラウンド)
(米R指定、日PG12指定)

公式サイト
https://lostflight.jp
(全国の劇場リストもあり)

75点


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 B級アクションという感じではあったものの、しっかり楽しめた。なかなか怖い。旅客機が悪天候で不時着したら、そこは反政府組織に支配された島だった! こんなことはいかにもありそう。「プルーフ・オブ・ライフ」(Proof of Life・2000・米)みたいに人質ビジネスをやっていて、訳のわからない言葉(タガログ語らしい)で叫び、独裁者のような男の命令で何でもやるヤツら。墜落だけでも恐ろしいことなのに。

 前半は航空パニックと思わせておいて、後半はサバイバル&人質救出アクションになる。良くできている。どうやらその道の専門家を雇ってリアリティを出しているようで、操縦シーンなんかも本物っぽい。後半の傭兵部隊はいかにもプロっぽい動き。「ムーヴ!」「リロード!」などの掛け声、移動しながらの射撃もタクティカルの基本に則っているよう。リアル。

 ただ、いかんせん、冒頭の機長登場シーンだけはいただけない。いかにもハリウッドB級映画という感じ。あまりにもパターン。携帯で娘に電話しながら、フライトに遅れそうだと言う。優等生的キャラではなく、ちょっとアウトロー的なタフガイだという雰囲気をアピール。無精ひげも伸ばしているし、持ち物検査から直接飛行機に乗る? 他の乗務員と集まってブリーフィングが必須なのではないかなあ。コースとか天候とか全員で色んなチェックがあるのでは? それ無しに飛べる? その後は良いようなんだけどなあ。シロートに指摘されるようでは…… プロの作品としてどうなんだろう。ここだけが惜しい! 後半に出てくる「1つ1つ確実に」という主人公の信条と矛盾する気がする。

 監督はフランス生まれのジャン=フランソワ・リシェ。米仏合作のアクション「アサルト13 要塞警察」(Assault on Precinct 13・2005・仏/米)や、実話の映画化「ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男」(L'instinct de mort・2008・仏/加/伊)などを撮っている人。アクションの撮り方がうまい。

 主演のジェラルド・バトラーは、すっかりメル・ギブソンやブルース・ウィリス、リーアム・ニーソンらが歩んだのと同じ道をたどっている感じ。本作ではプロデューサーも務めている。今後どういう作品に出るのか、それによって評価が決まってきそうだ。

 銃は、逃亡犯を護送する警官がグロック。これを手に入れてズボンに直接はさむのは、これまたハリウッド・スタイル。こんなので銃を固定できるはずがない。ちょっと動いたらすぐ落ちる。で、ギャングらが持っているのは、M16A2らしいライフル、XM177っぽいショーティ、AK、1911オートなど。救出チームの傭兵、プライベート・オペレーターたちはもっと良い最新の装備で、カスタマイズしたM4カービン、SIG M17など。スナイパーはバレットM82らしい.50口径ライフル。車を貫通し、敵を吹っ飛ばす演出がなされている。もちろん銃声も変えられている。なかなかの迫力。

 公開4日目の初回、日比谷の劇場は35分前に着いたらすでに開場済み。観客層は中高年の男性がほとんどで、B級アクションのパターン。昔あった銀座シネパトスを思い出すような感じ。メインは高齢男性。白髪率高し。その後、中年女性や若い男性も来たが、それぞれ10人くらいと、1,2人というところ。最終的には151席の3.5割くらいが埋まった。もっと入っても良いと思うけど、ほとんど宣伝していない感じだし……。

 曲とロゴが1分ほど流れて10分前くらいからシネマ・チャンネル。終わって曲とロゴに戻って半暗へ。CMのあと非常口ランプが消え、予告、SPY×FAMILYのマナー、忘れ物注意で暗くなって、映写機のマスクが左右に広がり、フル・サイズで足元注意、迫力の映画泥棒、映倫と続いて、PONY CANYONロゴから始まる本編へ。


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