2023年12月2日(土)「怪物の木こり」

LUMBERJACK THE MONSTER・2023・製作幹事:ワーナー・ブラザース映画・1時間58分

シネスコ・サイズ(表記無し)/サウンド表記無し
(日PG12指定)(一部日本語字幕付き上映、『HELLO! MOVIE』方式に対応した視覚障害者用音声ガイド・聴覚障害者用日本語字幕付き)



公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/kaibutsunokikorijp/
(全国の劇場リストもあり)

74点


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 ボク的には、本作はこの監督にしては最後までふざけず、真剣に撮り切ったという感じがした。だからかなり怖い。ホラーチックなミステリー。原作がしっかりしているからか、「クリミナル・マインド」のようにプロファイリングによって犯人を追い詰めていくところもとても良い。そして感動的な話になっている。悪人でありながら、サイコパスから普通の人間にもどったギャップ、心情がグサリと刺さる。

 絵作りの細部まで気が遣われているようで、お金も掛かっている。導入の短いシーンでも車をクラッシュさせているし、部屋に飾ってある絵画もちょっと高そうな雰囲気が漂っている。シネスコ・サイズだから当然かもしれないが、人物配置も見事で、その画面にいる誰も被らないように立っているのに、その配置が自然でわざとらしくない。ちょっと黒澤映画を思わせるような映画芸術性を感じる。

 ライティングもちゃんと行われていて、ビデオ的なその場にある光だけで撮ったアベイラブル・ライティングではない感じもいい。画に力があり、きれいで、より演出効果を高めている。ドキュメンタリー的ではなく、劇映画的。撮影は多くの三池崇史監督作品を手がけている北信康、照明は柴田雄大、美術はやはり三池作品を手がけている坂本朗。

 俳優は、主演の亀梨和也、菜々緒がいいのは当たり前として、脇で光っていたのは、サイコパス・ドクターを演じた染谷将太と、保険金殺人のサイコパスを演じた中村獅童。自然な感じなのにエキセントリックで、怖い存在感がよく出ていた。特に中村獅童は「首」(2023・日)に続いて、こちらでも光っていて、うまい人なんだなあと。TVで子煩悩な感じを見ていると、とてもこのシリアス演技は想像できない。しかも本業は歌舞伎役者。うまい役者は何でもできるということか。

 監督は、三池崇史。クセのある監督というイメージで、ボク的には「オーディション」(2000・日)や「殺し屋1」(2001・日)、「神様のパズル」(2008・日)、そして「ゼブラーマン」(2003・日)や「ヤッターマン」(2008・日)、「妖怪大戦争」(2005・日)なんかが好きだなあ。

 サイコパス監修はTV「ほんまでっかTV」でお馴染みの脳科学者、中野信子。説得力があるわけだ。

 銃は、警察が2〜3インチ・クラスのリボルバー(ニュー・ナンブ?)を使用。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は10分前くらいに開場。すぐに入ったが。すでに予告を上映中。いったに誰のために流しているのだろう。もっと人が入り始めてから流すか、開場をもう少し早くすれば良いのに。観客層はほとんど中高年で、女性は1/3ほど。最終的には301席に50人いったかどうか。キャストは魅力的で、原作も第17回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作となると、やはりこの監督作品だからということだろうか。いやいや、舞台挨拶があった日なので、ファンなどはそちらへ流れたということなのだろう。

 スクリーンはフル・サイズ、シネスコで開いていて、予告の後CMの途中で暗くなり、CMラストに映画の最後にWB(ワーナー・ブラザース)のアンケート・ページの二次元バーコード(QRコード)が出るので、アクセスして欲しいとの告知。最近は用紙を配ったりはしないらしい。よいアイディアだと思うが、応募者はどれくらいあるのだろう。終了後、だいぶ経ってから出ていたが、ほとんど人がいなくなっていて、ケータイを向ける人もいなかった気がするが……。そこから予告、そして暗くなって映写機のマスクが左右に広がり、フルになって、マナー・クイズのあとWBロゴから始まる本編へ。

 入場者プレゼントで、A3サイズほどの亀梨和也のフランス語版(?)ミニ・ポスターをもらった。


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