2023年12月3日(日)「ナポレオン」

NAPOLEON・2023・英/米・2時間38分

日本語字幕:丸ゴシック体下、田崎幸子・字幕監修:   /シネスコ・サイズ(ドルビーVISION、IMAX、IMDbでは2.39、Arri Alexa Mini LF)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・サラウンド7.1、ドルビー・デジタル、IMAX 6-TRACKも)
(英15指定、米R指定、日PG12指定)(日本語吹替版、IMAX版、4D上映、ATMOS上映もあり)

公式サイト
https://www.napoleon-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)

74点


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 堂々たる歴史大作。たっぷり2時間38分、ナポレオンの物語を堪能した。戦闘シーンなどスケールが大きく、とてもお金の掛かった贅沢な映像に圧倒される。ドラマなので人間ナポレオンにも迫ってはいるものの、印象としては某国営放送の歴史ものといった感じがあるのは否めない。歴史の時間に習ったことが、一連の流れで描かれていてわかりやすく、当時の戦闘がどのように行われたのかもよくわかる。そして昨今の映画らしく、馬も含め、よく血が飛び、頭が飛ぶ。容赦ない。戦闘はきれい事ではないと。

 ただ、フランスの英雄(?)であるナポレオンを、それを打ち倒したイギリスの視点で描き、しかもフランスの話なのに全編英語で、登場する単位もメートルではなくヤード・ポンドというのが受け入れられないと、この作品は楽しめないかもしれない。ラストにナポレオンが指揮した戦闘でどれだけの兵士が死亡したかリストされても、イギリスでも大量死亡者を出した将官はたくさんいたんじゃないの?と思ってしまう……。

 最初、英語を話すホアキン/ナポレオンに違和感があったが、途中からちゃんとナポレオンに見えてくるから不思議だ。肖像画などに描かれたイメージそのままのような気さえしてきた。似ていないのに。これが名優の力、名監督の演出ということか。ボク的にはジョセフィーヌを演じたヴァネッサ・カービーが抜群に良かった。当時の衣装、メイク(もちろん現代アレンジされているだろうが)がピッタリはまり、とてもゴージャスで美しく、魅力的だった。「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」(Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw・2019・米/日)でアクションも行けることを証明しており、雰囲気が全く違うところがまた素晴らしい。

 この監督、リドリー・スコットならラストは1対1のタイマンかと思ったが、史実どおりセントヘレナ島で終わる。ただ、島流しになる前に、イギリスの敵将であるウェリントン将軍との1対1の対面は描かれている。ウェリントンのリスペクトは持ちつつも、マウントを取った感じが実に良かった気がする。

 銃は、時代的にほとんど火打ち石を使うフリント・ロック。この方式は、一説にフランスで開発されたとされる。イギリス軍ではY字のスタンドで支えるスコープを装着したスナイパーも登場するので、イギリス軍最初のライフル、ベイカー・ライフルだったかも。一方フランス軍はナポレオン戦争期に使われたという、ライフリングのないシャルルヴィル・マスケット、モデル1777だったかも。

 戦いは、まず大砲をぶっ放して敵に被害を与え、それから密集隊形で歩兵が銃をぶっ放しながら前進。そこへ騎兵が一斉に突撃するというパターン。敵の弾を防ぐものは何もなく、撃たれ放題。恐ろしい。イギリス軍は歩兵に方陣隊形を取らせ、フランス軍の騎兵が攻撃をしかけるが崩すことはできない。時代が下って、確か「サハラに舞う羽根」(The Four Feathers・2002・英/米)ではその方陣が崩れるさまが描かれていたのではなかったか。

 公開3日目のATMOS上映初回、池袋の劇場は15分前くらいに開場。やはりここも観客層は中高年がメイン。じじ多め。女性は3割ほどで、若い人はわずかだった。歴史物だしなあ。最終的には346席に3.5割くらいの入り。11席あったプレミアム席には3人ほどが座った。

 入場後間もなく案内が流れ、枠付きの映画泥棒、映倫のあと予告。マナーから映写機のマスクが左右に広がり、フル・サイズになってBESTIAのデモ、ドルビーATMOSの日本語デモと続き、アネット・ベニング似の自由の女神のコロンビア・ロゴから始まる本編へ。

 アップル・ムービーだそうで、コロンビア・ロゴの後にアップル・ロゴ、ラストにもアップル・ロゴが。


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