2024年3月30日(土)「オッペンハイマー」

OPPENHEIMER・2023・米/英・3時間00分

日本語字幕:丸ゴシック体下、石田泰子/字幕監修:橋本幸士/70mm比率(シネスコの左右マスクで上映、by Panavision、IMAX。IMDbでは1.43、1.78、1.90、2.20、2.35、2.76、35mmフィルム、65mmフィルム)/ドルビー(IMDbではドルビー・デジタル、DATASAT、dts70mm、IMAX 6-Track)
(米R指定、英15指定、日R15+指定)(IMAX版、35mmフィルム上映もあり)

公式サイト
https://www.oppenheimermovie.jp/
(全国の劇場リストもあり)

84点

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 久々の長い映画。3時間とは! 昔だったら途中で休憩が入っているレベル。長いのに濃密な内容で、間延びしたような感じは微塵もない。しっかりとした映画らしい画作りで、高画質だけれど昔を感じさせる色調とも相まって、とても格調高い雰囲気が溢れている。凄いなあ。音も大きく、クリアで、メリハリがあって、しかもよく回っていた。音も画もレベルが高く、圧倒される。出演者の演技もみな素晴らしく、説得力があり、存在感もありリアル。ただ楽しい作品ではなく、ホラーのような恐ろしい話。原爆も、軍も、戦争も、政治も恐ろしい。そして赤狩りの恐怖。激動の、ある科学者の半生。それはとても重い。見終わって、しばらく言葉を失う。

 雰囲気としては、記録映画を見ているかのよう。そこに主人公の思い、心情が重ねられていく。そして、オッペンハイマーの人生に大きく関わり、害をなす存在であった男がメインのシーンだけがモノクロで描かれていた気がする。違ったかなあ。ほかはすべてカラー。このため、カラー撮影したものをモノクロ化するのではなく、あえてわざわざ65mmのモノクロ・フィルムを作って撮影したらしい。

 特に素晴らしかったのが、主演のキリアン・マーフィー。見た目も雰囲気も、どことなく先日NHKでやっていたドキュメンタリーで見た本人に似ていて、とても説得力があった。ずっと暗い表情なのも、科学者としての苦悩が表れているようで良かった。たぶんクリストファー・ノーラン作品の常連で、ボク的には「バットマンビギンズ」(Batman Begins・2005・米/英)のスケアクロウと、「麦の穂を揺らす風」(The Wind That Shakes the Barley・2006・アイルランド/英/独ほか)の主人公が強烈に印象に残っている。

 スタッフのクレジットを見ていたら、俳優でも知られるジェームズ・ウッズの名があった。出演はしていない。executive producerいわゆる製作総指揮だ。

 銃は、兵士がM1ガーランドらしいライフルを持っていた。

 公開2日目の初回、日比谷の劇場は27〜28分前には開場。観客層は若い人から中高年まで幅広かった。さすがアカデミー賞受賞作品というところか。男女比は、最初男性が少し多めの感じだったが、徐々に女性も増えてほぼ半々に。ヒット作はだいたいこうなる。最終的には436席のほぼすべてが埋まり、10席×4列のP席も満席、10席のリクライニング付きのL席も、4席は埋まった。すごい。久しぶりの満席感。

 曲と劇場ロゴに続き、シネマ・チャンネル。それが終わると半暗になり、CM、予告が続き、非常口案内からランプが消え、ラストにマナー、忘れ物注意。暗くなって映写機のマスクが左右に広がり、フルでTCXデモ、足元注意、映画泥棒、映倫で、わずかに左右マスク(70mm比率)の本編へ。


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