面白かった。平安時代では昔過ぎて違和感ありすぎで楽しめないかと思ったが、そこはうまい演出、導入でちゃんと楽しむことができた。しかも映画らしい画作りと、ミステリーとしての謎解きの面白さ。さすが「エコエコアザラクWIZARD OF DARKNESS」(1995・日)の佐藤嗣麻子監督・脚本作品! サラウンドも効果的に使われていた。 たぶん、雰囲気としてはホームズ&ワトソン的なバディもの。陰陽師の晴明がホームズで、天皇の孫で政府の役人の博雅がワトソン。そして、かつて2001年NHKで稲垣吾郎の晴明と、杉本哲太の博雅で10話だけ放送されたTVドラマとよく似ている。原作が同じだから当然と言えば当然。まだ学生時代の前日談で、本上まなみが演じた蜜虫はいないけど。 特に良いのは、ミステリーとファンタジーのバランス。ミステリーにリアリティは必須で、リアリティとは正反対のファンタジーもリアリティを出すことで受け入れやすくなり、面白さも増す。そのため、冒頭で呪術を科学的な見地から誘導や思い込み、幻覚や催眠術などと説明しておいて、それを最後にひっくり返してみせる。映画の入りも、ナレーションを使い、さらに百人一首を読むような抑揚のある外国語のようなおそらくリアルな当時の言葉から始め、わかりにくいから現代語にすると堂々宣言、これが良かった気がする。ただ、平安当時から黒板と白墨(チョーク)ってあったのだろうか。ちょっと違和感。 ただ、今なぜ陰陽師で、平安時代なのか。やはりNHKの大河ドラマ『光る君へ』が始まったからだろうが、公式サイトによれば、安倍晴明、生誕1100年になるんだそう。ふーん、そうか。それにしても、山阜ォ人は映画主演しまくり過ぎ。すごいなあ。 やはり佐藤嗣麻子監督の手腕なのか、出演者がそれぞれキャラが確立され、ちゃんと立っている。みんなうまく見える。特に良いなと思ったのは、陰陽頭を演じた小林薫。実に自然体という感じで、変な力みや演技している感がない。普通に話している感じで、すうっと入ってくる。水中に沈んだ村上虹郎はぞっとするほどきれいだったし、奈緒はかわいらしく、山阜ォ人と染谷将太のコンビは、この先も見ていたい感じ。 衣装ももちろん見事で、奈緒演じる徽子(よしこ)女王が出てくる時は花びらが敷き詰められている(なかりお金が掛かった?)などの美術演出も素晴らしかった。呪術を行うとき顔に付ける面というか布のマスクのようなものも、ちょっと宮崎アニメの「千と千尋の神隠し」(2001・日)も感じさせつつ、恐ろしかった。ボク的に最も気になったのは高貴な人たちが持つ扇。とても素敵に思えた。それでエンド・ロールを注意していたのだが、メモし損ねた。公式サイトにあるかと思ったら、残念ながらなし。だぶんその道では有名な人に違いない。 公開2日目の初回、日比谷の劇場は27、28分前に開場。最初10人くらいいて女性は2人ほどだったが、徐々に増えていき逆転。最終的には3対7くらいで女性の方が多くなった。年齢層は中高年がメイン。若い人は少なく、男性の方が高め。P席なしの151席は数席を残し、95%くらいが埋まった。さすが話題作。舞台挨拶の中継がある回はきっと早くに満席だろう。 10分くらい前からシネマ・チャンネル。それが終わって半暗になり、CMのあと非常口ランプが消え、予告。ラストにアニメ「僕のヒーローアカデミア」のマナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がり、フル・サイズになって足元注意、迫力の映画泥棒、映倫と続き、木下グループとワーナーのロゴから始まる本編へ。 それにしても、だいたいどの劇場でもアニメ作品が増えて来て、また実際アニメ作品は良く観客が入っているよう。もうちょっと実写映画もがんばってほしいなあ。 入場者プレゼントで、A5サイズのイラスト・カードをもらった。 |