原作が山田太一の『異人たちとの夏』ということで、ミステリー的なファンタジーを予想したら、全く違った。これは普通のゲイ映画。ゲイ(クィア?)の悩み、イジメ、孤独、愛を求め続ける心などがとうとうと語られる。しかもかなりエロい。そして観念的で後ろ向きで、きわめて内省的。ボクはまったく合わなかったが、IMDbでは7.7点の高評価。 脚本が書けず、だらだらと時間を過ごし、結局はセックスに溺れ、過去を懐かしむだけのような日々を送ってしまう。ロンドンだとマリファナとか普通に家にあるものなの? すべては頭の中で起こったことと捉えることも可能で、ファンタジー的な出来事はすべて説明が付く。それだと夢落ちと同じでは。鏡が多いのもそんなイメージか(タバコも多かった気がする)。さらには、ゲイが異人と取ることもできそう。原題はそういうことでは? 監督は、必要もないのに、雨を降らせて着替えのためわざわざ俳優を裸にしている気もするし……。うーん。 シネスコにした意味が良くわからなかった。心の閉塞感、どうにもならない感じはもっとタイトなビスタの方が良かったはず。 原作は読んでいないが、大林宣彦監督の映画「異人たちとの夏」(1988・日)の大ファンなので、ショックが大きかった。本作は原作が必要だったのだろうか。 公開9日目、どこも小さいスクリーンばかりで、どうにか日本橋の劇場で折り合いを付けた。この段階で嫌な予感はあったわけだが…… 初回と言っても、ほぼお昼の上映。15分くらい前に開場。観客層は中高年で、男女比はほぼ半々。女性の方が若い感じ。最終的には119席に3.5割くらい、35〜40人くらいいただろうか。若い人は1人か2人。この内容だと入っていた方ではないだろうか。 10分前くらいからシネマ・チャンネル。終わって半暗になり、CM・予告。ラストにアニメ「僕のヒーローアカデミア」のマナー、忘れ物注意、NETFLIXのCMと続いて暗くなり、映写機のマスクが左右に広がり、フル・サイズになって、足元注意、映画泥棒、映倫で、20世紀FOXサーチライトのロゴから始まる本編へ。 |