破滅の物語。最悪の状況になって、ちゃんと正面から正々堂々解決しようとするのではなく、搦め手から力でカタを付けて、最後には逃げると。なんて話だ! 映画は何事もなかったかのように、パッピー・エンド風に明るく終わるが、これで済むはずがない。たくさん人が死んでいるし、車が燃えたり、銃弾で穴だらけになったり、目撃者もたくさんいるし…… これでバックレたって済むわけがない。これではすべての軍人、退役軍人が暴力的で、危険な人物に見えてしまう。国のために戦った軍人をこんな風に描いていいの。ちょっと脚本がなあ……。お金を払ってこんな気分になりたくない。やっぱり見なきゃ良かったかも。IMDbでは5.0の低評価。 ただ、嫌な感情はよく伝わってきたから、映画としては良くできているのだろう。怖いし。銃声も大きく恐ろしく、アクション・シーンはなかなかのリアリティと迫力。それでも長いと感じる。挫折と再生ではなく、挫折と挫折。この作品の意味は? 何を言いたいの? ひょっとしてこれを反面教師にしろという映画? キャラクターも酷い。息子を甘やかし放題の父、それに甘え放題の息子。異常な戦友というか元上官。みな異常。反面教師だとすれば納得できるが……。この元上官を演じたのが、脚本と監督も務めたマット・ネイブル。演技は素晴らしかった。悪い人じゃないのに、悪くなってしまう感じが絶妙なところ。どこかで見たと思ったら、「リディック:ギャラクシー・バトル」(Riddick・2013・加/米)に出ていたらしい。監督は初めてだそうで、これも悪くなかったのかなと。脚本はいかがなものかと思うが。 銃は、冒頭の戦闘シーンでACOG付きのM4カービン、敵はAK、スナイパーはL96らしいボルト・アクション・ライフル。後半、帰国してからはハンドガンがサプレッサー付きのベレッタPx4らしいオート、ハンティング用のレミントン700らしいライフル、ベレッタ92のシルバー・フレーム、M4カービンなどが登場。 公開6日目の初回、新宿の劇場は10分くらい前に開場。観客はほぼオヤジ。ここの劇場はアニメ化&オヤジ化している感じだ。多くの劇場がそんな傾向があるが、ここは特に顕著かなと。メインは中高のそれも高寄り。最終的には148席に20人くらいの入り。平日はこんなものだろう。しかも初回だし。女性は…… 1人か2人いたかなというところ。この作品の感じだと、多くの観客が入るようには思えない。 スクリーンはシネスコで開いており、「あぶでか」の予告から劇場案内、アニメ「すとぷり」のマナー、再び予告。非常口案内のあと非常口ランプが消え、半暗になってCMから予告、ラストにマナー、映写機のマスクが左右に広がり、フル・サイズで迫力の映画泥棒、映倫で暗くなり、クロックワークスのロゴから始まる本編へ。 |