凄い映画。圧倒された。幼い頃さらわれた少女が大人になって復讐を遂げるまでを描く壮大な物語。まさにサーガに相応しい内容。しかも絵作りが絵画的で、残酷でバイオレンスに溢れているのに美しく、きれい。それだけでも見る価値がある。そこへ、劇場全体を包み込むような大迫力の音響、重低音と音楽の洪水。美術もマッドマックスならではの世界観。ロックで、パンクで、レトロフューチャーで、クレイジーで素晴らしい! 前作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(Mad Max: Fury Road・2015・豪/米)の前日談にあたるそうで、ボクはほとんど覚えていなかったがそれでも充分楽しめた。ラストのエンド・クレジットでそれらしいシーンも流れるが、フュリオサをシャーリーズ・セロンが演じた前作を見直したくなる。どうつながったのか。たぶん普通のファンはこんなものではないかと思う。気合の入ったファンは覚えていたり、あらかじめ予習で前作を見直したりしているのだろう。それはそれで楽しめると思う。 ジョージ・ミラー監督は一部では“神”と呼ばれているそうだが、ここまでの作品を作る神みたいな人なのか、それともマッドマックスの世界を作ったという意味で神なのか、それとも両方か……。とにかく1945年生まれというから今年で79歳。まだまだ過激で、尖った感じが凄い。すべての感覚がちっとも老いてない。それでいて正反対の子供も楽しめるファンタジーの傑作「ベイブ」(Babe・1995・豪/米/英)なんかも撮れるスゴイ才能の持ち主。だから神か。 たぶん付け鼻(とかの特殊メイク)のクリス・ヘムズワースは、せっかくの二枚目が台無しのような面相の悪役で素晴らしいが、それより文句なく主演のアニャ・テイラー=ジョイが良い。ボクが初めて見たのは、じわーっと怖いホラー「マローボーン家の掟」(Marrowbone・2017・西/米)の優しく素敵なご近所さん役。あの可憐な少女が、ここまでハードなアクションをこなすとは。そして良かったのが、フュリオサの少女時代を演じたアリーラ・ブラウン。他の作品を見ていないが、本作ではかわいらしくしかも美少女で、よく感情が伝わってきたから演技もうまいのだろう。だいたい女性の方が良くて印象に残り、男性陣は強烈な悪党以外パッとしない感じ。 銃は、スコープを取り付けたシモノフ(SKS)、リー・エンフィールド(SMLE)らしいボルト・アクション・ライフル、シルバーのル・マット・リボルバー、SAA、AKMSの4連装、グロック、M4カービン、HK53っぽいショート・ライフル、MP5、ウインチェスター92っぽいシルバーのレバー・アクション、ナックル・ダスターとナイフも備えるアパッチ・リボルバー、ソウドオフの水平二連ショットガンなど。大きなものではRPGも登場する。 公開2日目の初回、日比谷の劇場は30分くらい前に劇場がオープンし、当該のスクリーンは20分くらい前に開場。観客層は若い人から中高年まで幅広く、さすが話題作というかヒットしそうな予感。男女比は、最初男性が多い6対4くらいだったが、最終的に5.5対4.5くらいになった。プレミアム・シアターなので中央部分のプレミアム(P)席が10席×4列、それにさらに高いラグジュアリー(L)席が1列ある。最終的にP席が8.5割くらい埋まり、よく見えなかったがL席も1〜2席埋まっていたような。一般席は7割ほど埋まったと思う。 10分前くらいからシネマ・チャンネルが流れ、それが終わって半暗になり、CM・予告。ラストにアニメ「ヒロアカ」のマナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がってフルのシネスコに。TCXデモ、足元注意、映画泥棒、映倫と続いて、錆びた感じのWBロゴのあと、文字でこの映画の世界感の説明があって、5章からなる本編へ。 入場者プレゼントで、限定スマホ用壁紙がダウンロードできるミニ・ステッカーをもらった。6/20までの入場週によってデザインが変わるらしく、第3弾まであるんだとか。詳しくは公式サイトで。 |