宇宙人らしい凶悪なモンスター軍団から、いかにして生き残ったかというサバイバル映画ではなかった。むしろいかに生きたか、人間としての成長(ではなく変化なのかも)を描いたヒューマン・ドラマだった。だから、結末はちょっと予想というか期待とは違う。それがどうか。感動的なのは間違いない。 そもそも主人公が末期癌で、余命わずか。ホスピスに入って暮らしている。治療はしない。痛み止めの薬だけ飲んでいる。我が儘放題で、冒頭の印象はかなり嫌なヤツ。でも徐々にそういう現状が明らかになって、その理由がわかってくる。だから看護師は、彼女を絶対に怒らない。否定せず、受け入れるようにしている。最低のルールは守らせ、暴走は許さないが。そこからスタートして、宇宙人らしいモンスターの大群の襲来によって、それがどう変わっていくのか。 主演のルピタ・ニョンゴは素晴らしい。病人の我が儘な感じ、生命力の弱い感じ、それでも芯に少女のような夢見るピュアな心が残っていて、優しい感じも、よく伝わってきた。戸惑いながらも、主人公と一緒に生き残ろうとするジョセフ・クインも良かった。彼も最初は弱く、次第に強くなっていく。そして猫。クレジットでは2匹いたようだが、演技しているようにしか見えない。CGとかも使っているのだろうか。すごい。 しかも単なるドラマではなく、ホラーSFで、かなり怖い。音で脅す傾向はあるが、音を立ててはいけない設定なので、それを逆手にとって怖い。音響はサラウンドで重低音が響きまくる。 監督・脚本は、マイケル・サルノスキという人。ボクは見ていないが、ちょっと話題になったニコラス・ケイジの「PIG/ピッグ」(Pig・2021・米/英)の監督・脚本・製作総指揮をやった人。それまではTV作品が多かったようだが、あの1本で一気にメジャーになったということらしい。今後も注目かも。ちなみに「PIG/ピッグ」には、本作で看護師をやっていたアレックス・ウルフが出ている。監督と気が合ったのだろうか。 プロデューサーには、最近「ブルー きみは大丈夫」(IF・2024・米/加)を手がけた本シリーズのクリエーター、ジョン・クラシンスキーと、あのマイケル・ベイが名を連ねている。 公開2日目の初回、日比谷の劇場は12、13分前に開場。入るとすぐにシネマ・チャンネルが始まった。観客層はいつもどおり中高年。女性は1/3ほど。最終的には10席×1列のDX席に1人くらい、10席×4列のP席に11、12人くらい、そして一般席に3.5割くらいの入り。まあ、こんなものだろうか。 シネマ・チャンネルでは、池袋の劇場に270°の視野をカバーするスクリーンXが導入されたというお知らせからスタート。それが終わると半暗になり、非常口案内も入れつつCM。そしてちびゴジラの予告。ラストに「ヒロアカ」のマナー(それを完全無視でP席でケータイを操作してるヤツも)、忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がってフルのシネスコに。TCXデモ、足元注意、映画泥棒、映倫で、TOWAのロゴからパラマウントのタイトルにつながる本編へ。 |