2024年8月3日(土)「ツイスターズ」

TWISTERS・2024・米・2時間02分

日本語字幕:手描き書体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(ドルビーVISION、IMAX、Panavision。IMDbでは2.39、Arriflex、Panaflex。フィルム、Super 35)/ドルビーATMOS(IMDbではドルビー・デジタル、ドルビー・サラウンド7.1、D-Cinema 96kHzドルビー・サラウンド7.1、dts:X、Auro 11.1、12-Trackデジタル・サウンドも)
(米PG-13指定)(日本語吹替版、IMAX版、ATMOS上映、4D上映などもあり)

公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/twisters/
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74点

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 いわゆるパニックものだけれど、ベースの部分はボーイ・ミーツ・ガール物語。単なるディザスター・ムービーではなかった。それもあってか、展開がわかっていながらハラハラドキドキ楽しめた。ドラマとしても面白い。ただ、竜巻映画と思ってみると、その部分はちょっと物足りないかもしれない。タイトルは複数形になっているが、それほど多いわけではない。

 予告では、てっきり「ツイスター」(Twister・1996・米)の最新技術版、スケール・アップ版かと思った。ところが、実際にはその部分にはあまり焦点が当てられておらず、それによって被害を受ける人々のために、できることを考える映画だった。ただ観念優先というか、どう行動すべきかとかそんなお説教臭い映画ではなく、まず自分が行って人々を助けようと。そして、科学者ができることというと、竜巻の発生をいかに早く予想して人々に知らせるか、あるいは発生した竜巻の被害をいかに小さくするか(竜巻そのものの威力を弱める、または消滅させることも含む)になるわけで、映画的には前作もそうであったように、後者を描く。

 1時間半程度の映画だったらありふれた映画になっていたかもしれないところ、2時間超えの長尺としたことで、よくあるパターンの積み重ねながら、ひねりがきいた意外な展開。パターンを逆手に取ったようなそのひねりが面白い。

 ベースは、学者肌で、真面目一筋、過去に友人たちを死なせてしまったトラウマを持つ女性、そして高慢ちきで派手好きで、竜巻の映像を生配信する田舎のユーチューバー・カウボーイ、それから学生時代の経験と軍での経験を元に、竜巻をビジネスに使うストーム・チェイサー、といった男2人、女1人の、昔からある黄金の三角関係。

 面白いのは、前作では竜巻の大きさは藤田スケールF0〜F5で表されていたのに、本作ではEF0〜EF5で表している。調べてみたら、改良型のEnhanced Fujita Scaleのことだそうで、2007年から使われているそう。より正確な風速の推定が行われるようになったそうだが、本作でも触れられているように、威力を測るので、竜巻が通った後の被害で推定するというものなんだそう。後でしか使えない。なるほどなあ。

 メイン・キャストの3人が素晴らしい。トラウマを持つ女性ケイトは、傑作ミステリー「ザリガニの鳴くところ」(Where the Crawdads Sing・2022・米)がとても素晴らしかったデイジー・エドガー=ジョーンズ。本作も、芯は強いのにちょっと内気な感じが絶妙。竜巻ビジネスの元同級生ハビは、ブロードウェイ・ミュージカルの映画化「イン・ザ・ハイツ」(In the Heights・2021・米)で印象的な語り手を演じたアンソニー・ラモス。そして高慢ちきカウボーイ、タイラーの嫌らしさを見事に出していたのは、ボクは見ていないがちょっと話題になったラブ・コメの「恋するプリテンダー」(Anyone But You・2023・豪/米)に出ていたグレン・パウエル。ボク的には大ヒット作「トップガン マーヴェリック」(Top Gun: Maverick・2022・米)の印象が強く、ここでも高慢ちき野郎を演じていたのではなかったか。

 監督は、韓国系のリー・アイザック・チョンという人。これまた見ていないが、過去に韓国系移民を描いた「ミナリ」(Minari・2020・米)で監督・脚本を手がけ、アカデミー賞に5部門ノミネート、助演女優賞をもたらしている。

 公開3日目の初回、新宿の劇場は15分前くらいに開場。観客層は高寄りの中高年がメイン。最初15人くらいいて、女性は3人。その後女性が少し増え、若い女性に、中高生くらいの男の子とかも来て、男女比は7対3くらいになり、最終的には128席に7割くらいの入り。竜巻映画なのでもっと大きなスクリーンで見たかったが、話題作に取られてしまった感じ。残念。

 11分くらい前からシネマ・チャンネルが流れ、終わって半暗になり、インフォメーションからCM。非常口案内からランプが消えて、予告。ラストにマナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がりフル・サイズになって、足元注意、迫力の映画泥棒、映倫で、ちょっと嵐アレンジのWBウォーター・タワー・ロゴ、地球のユニバーサル・ロゴ、月にE.T.のアンブリンのロゴから始まる本編へ。


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