リアルなインド映画という感じ。スーパー・ヒーローはいなくて、あり得ないアクションも、華麗なダンスもなし。美女はいるけど。 不幸な生い立ち、劣悪な底辺での人生、貧富の差、ナイフや銃、素手による強烈なバイオレンスで、すっかり落ち込み、なんだか気持ち悪くなった。いろんなことが上手くいかないような気がしてきて、ガンバリが無駄に終わりそうで、落ち込んだ。ということは、ちゃんと感情などが伝わってきて、良くできた映画ということになるのだろう。ただ、これは元気なときに見たほうがいい。 雰囲気は本作で主演と監督と脚本、製作も兼ねたデヴ・パテルが主演した「スラムドック$ミリオネア」(Slumdog Millionaire・2008・英/仏/米/印)と似ている。「LION/ライオン -25年目のただいま-」(Lion・2016・印/英/豪/米)も入ってるかな。ようするにインドという国というか社会の雰囲気だろうか。なんだかインドが怖くなる。ただ設定の、闇のファイトクラブのファイター、というのはアクション作品では良くある設定。ちょっと前に「聖闘士星矢 The Beginning」(Knights of the Zodiac・2023・米/日/ハンガリー)でも新田真剣佑が演じていた。 新しくはないが、興味深かったのは、トランスジェンダーの一団がいて、主人公を助けること。これが非常に頼もしくて、盛り上がる。この展開はちょっと意外だった。 武器は基本ナイフだが、銃も出てくる。ただデヴ・パテル監督は銃に関心がないようで、シーンごとに銃が変わったりしていた。主人公のモンキーマンが闇の武器商人から買うのはスナブノーズ系のシルバーのリボルバーなのだが、チーフだったり、2.5インチ?とか3インチくらいになったり、ルガーのようになったり……。これではB級ムービー以下のような印象。ギャングはAKやベレッタ92など。ヘリのスコープ付きライフルはM16っぽかった。女ボスは1911オートを使う。何かマシンガンもあったような気がするが……。 アクション・シーン、殺陣はみごと。ほとんど1カットのような感じで見せながら、ちゃんとパンチやナイフが当たっているよう。ザクッとかシュパッとか、肉や服を切るような音も強調されているし、血しぶきも舞っている。音も、盛り上がってくるとサラウンドになるようで、立体的。これらがまたリアルな気持ち悪さにつながっているのかもしれない。デヴ・パテルは特訓したんだろうなあ。体もムキムキで仕上がっていたし。それにしても、バラ線を巻き付けたバットは怖い。これって過激プロレスなんかのデスマッチとかで出てくるやつ? 公開2日目の初回、新宿の劇場は15分前くらいに開場。観客層は若い人から中高年まで幅広く、意外。女性は最初12人中2人くらい。これは女性は見ないだろうなあ。5分前で20人くらいしかいなかったが、それでも場内が半暗になって予告が始まる頃には、128席の4割くらいが埋まった。この感じだとこんなものか。 10分前くらいからシネマ・チャンネル。終わって半暗になり、インフォメーションから非常口案内。ランプが消えて、ちびゴジラの予告。ラストに暗くなって、映写機のマスクが上下左右に広がりフル・サイズに。マナー、忘れ物注意、迫力の映画泥棒、映倫で、蝶が舞うパルコのロゴ、、地球が回転するユニバーサルのロゴなどから始まる本編へ。 |