2024年9月7日(土)「エイリアン:ロムルス」

ALIEN: ROMULUS・2024・英/米/ハンガリー/豪/ニュージーランド/加・1時間59分

日本語字幕:丸ゴシック体下、大城弥生/シネスコ・サイズ(IMAX。IMDbでは2.39、IMAX版1.90、Arri Alexa 35)/ドルビーATMOS(IMDbではIMAX 6-Track、12-Trackデジタル・サウンドも)
(英15指定、米R指定、日PG12指定)(日本語吹替版、IMAX版、4D上映、ATMOS上映などもあり)

公式サイト
https://www.20thcenturystudios.jp/movies/alien-romulus
(情報少、全国の劇場リストはあり)


74点

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 久々に本格的なSF映画を見たような印象。宇宙船、宇宙ステーション、異星生物(エイリアン)、ブラスター、宇宙服、人工冬眠ポッド、アンドロイド、透視装置……などなどが、とてもイイ感じ。この前に見たのは3月の「デューン砂の惑星PART2」以来だろうか。このジャンルはいかにも映画らしくて、それだけで満足感がある。サラウンド音響もよく回っていた。

 そしてなかなか怖かった。ちょっと音で脅かす傾向はあるものの、エイリアン的ホラー感は満載。エイリアンと人類のハイブリッド版は「エイリアン4」(Alien Resurrection・1997・米)なみにキモくて、気持ち悪い。ただ、全体としては第1作の「エイリアン」(Alien・1979・英/米)と似た印象。大量に襲ってくるのは「2」以降のパターンで、本作の新しさというか、特徴は特にない感じ。あるいはリスペクトというか、オマージュというべきなのか。

 際立っていたのは、パターンのエイリアンとの戦いが、なかなかの怖さだったということ。ハラハラ、ドキドキ。わかりきっているのに、ちゃんと恐い。たたみかけるような怒濤の戦い。

 予告では、無軌道な若者たちが暴走して、宇宙船に侵入、そこで想像を絶する恐怖を経験するというするという、本作の監督・脚本のフェデ・アルバレスが以前に撮った恐怖映画「ドント・ブリーズ」(Don't Breathe・2016・米/ハンガリー)のパターンかと思わされた。根幹の部分では変わらないのだが、希望のない田舎を出て、何か新しいことが始まりそうな都会へ行くというパターンになっていた。そこをSFらしくアレンジして、目的の惑星に行くには9年もかかるから人工冬眠ポットが必要になり、それを新たに見つかった廃宇宙船から頂戴しようということになっているので、理解はでき、受け入れられる。それでもやっぱり泥棒だとは思うけど。

 面白かったのは、廃宇宙船の電源が入ると、ときどき人工重力が自動的に発生するという設定。これでサバイバル=追いかけっこは一段と面白くなる。ただ、廃宇宙船の電源が生きていて、空気があって、簡単に電源が入ったりというのは安直に過ぎる気もする。武器なんかも、すぐに使える状態で置かれているし、標本もそのまんま。これで廃船? 若者たちが勝手にそう思い込んでいただけ? それと、通気口らしいところにミイラ化したネズミの死骸のようなものがあったが、宇宙でもいるものなんだろうか。

 キャラクターとしては主人公レインを演じたケイリー・スピニーがとてもキュートで応援したくなる。どこかで見たなと思ったら、巨大ロボット・アクションの続編「パシフィック・リム:アップライジング」(Pacific Rim: Uprising・2018・英/中ほか)に出ていたらしい。新しいところではこれから公開される「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(Civil War・2024・米/英)に出ていると。今後の活躍に期待したい。

 そして良いのが、アンドロイドのアンディを演じたデヴィッド・ジョンソン。ちょっと困り顔でいいヤツそうな感じがとてもよく出ていた。今後注目かも。そして良いのが壊れたアンドロイド役のイアン・ホルム(「1」のアッシュという名前ではなくルークだった)。2020年に亡くなっているので、パフォーマンスはダニエル・ベッツという人が行っていて、イアン・ホルムの顔のデータと声のデータが使われたらしい。これはぜひともDVD版とかのメイキングをチェックしてみたい。

 銃というかブラスターは、劇中でF44AAパルス・ライフルと言っていた。「エイリアン2」(Aliens・1986・英/米)の宇宙海兵隊が使うM41Aパルス・ライフルによく似てている。ベースはM1トンプソンのよう。リスペクトということだろうか。

 ちなみにタイトルのロムルスは、たぶんローマの建国伝説に登場する双子の兄弟ロムルスとレムスの兄の方。王位継承を巡る闘争に巻き込まれ、川に流された後、狼に育てられたとされる。その後、ふたりは復讐を果たすと都市を建設し、兄の名からローマと名付けたという。しかし結局は兄弟が仲違いし、兄が弟を殺してしまう。これと今回のエイリアンと、どういうつながりがあるのか…… 軍神の息子というあたり? 狼のエピソードのあたり? 日本人には馴染みがなく、わかりにくい。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は14〜15分前に開場。観客層は中高年がメイン。最初20人くらいいて、女性は2人ほど。最終的には407席に7.5割くらいの入り。10席×2列のP席も7割くらいが埋まった。まあ、こんな感じが相応だろうか。

 入場するとすぐにシネマ・チャンネルが始まり、終わって半暗。CM、非常口案内、ちびゴジラの予告と続いて、マナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がりフル・サイズになって、足元注意から映画泥棒、映倫で20世紀FOXのロゴから始まる本編へ。


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