面白かった。堂々たるB級ホラー。有名スターも出ていないし、壮大なスケールのSFXもないが、丁寧に描かれていて、トンデモな話なのに説得力を持たせようとしているところが良い。ありがちな展開で、だいたいどうなるか読めるのだが、具体的にどうまとめるのかは全くわからない。これでちゃんと終わるの?と思っていると、破れかぶれじゃないちゃんとしたエンディングへ収まる。凄いなあ。結構ハラハラドキドキさせる。しかもR15+指定だけあって、首はもげるは、血が飛び散るは、というか人体が炸裂して、血まみれどころか血の海状態。 まず冒頭、よくある犯罪ドラマのようにスタートする。本気のクライム・アクションになっている。そこが良い。しっかり作られている。そしてそこからホラーに変わる。怖がらせた後、一気にとんでもないスプラッター残酷映画に突入する。すごいなあ。予算があれば、もっと凄いモンスターが登場するのだろうが、さすがにB級はそこまで行かない。でも、面白く最後まで見せる。 残念だったのは、キャラクターがいけ好かない奴らばかりで、ほぼみな犯罪者。どうにも好きになれない。ネットの闇バイトで集められたような奴らで、主人公だろう子守担当のジョーイだけがその中でもかろうじて感情移入できる。ということは生き残るのは…… と想像できるわけで。とにかく、もう少しまともなヤツがいないと気分が悪い。むしろヴァンパイアの少女の方が良い子に見えるようではイカンかなあと。キャラクターの設計に問題ありでは。 特に酷いのが、リーダーらしい元刑事?のフランク。こんなにバカでイヤなヤツじゃなくて、寡黙でニヒルなキャラでも良かったのでは。そういう悪党だっているだろうに。演じたのは、残念な「ゴジラ×コング 新たなる帝国」(Godzilla x Kong: The New Empire・2024・米/豪)でも群を抜く酷いキャラクターの獣医を演じていたダン・スティーヴンスという人。二枚目で、ちょっとコミカルな雰囲気で、いい感じなんだけどなあ。残念。 それに対して良いのは、ヴァンパイアのアビゲイルを演じたアリーシャ・ウィアー。2009年生まれというから15歳か。もっと幼く見えて、可憐でか弱い上流階級のお嬢様が、一瞬にして豹変し、大人でも恐ろしいほどのヴァンパイアになる。このギャップ。素晴らしい演技力。今後、注目だろう。 金髪の不良ハッカーを演じた美女は、キャスリン・ニュートン。「名探偵ピカチュー」(Poke´mon: Detective Pikachu・2019・日/米)にも出ていたが、人格入れ替わりホラー・コメディの「ザ・スイッチ」(Freaky・2020・米)で中年オヤジの殺人鬼になってしまう女子高生を演じていた人。で、アホなドライバーを演じていたアンガス・クラウドという人が、ジャンキーっぽい感じがリアルで凄いなあと思っていたら、2023年に本当に薬物の過剰摂取でなくなったらしい。エンド・クレジットで「アンガス・クラウドを追悼して」と出る。 日本人的にというか、少なくともボクには人名があまり覚えられず、しかも本名は明かすなということで、それぞれに偽名が与えられて…… もうわからない。バルデスって誰? 組織の殺し屋? 鍵を握る人物らしいのに。 銃は、子守役のジョーイがベレッタM8000というかアストラかスターあたりのスライドにセイフティのあるオート、元刑事がグロック、元海兵隊のスナイパーがサプレッサーとスコープの付いたボルト・アクション・ライフル、筋肉バカがベレッタ92らしいオート。もちろん銃弾はヴァンパイアには効かず、銃創もすぐに治ってしまう。 公開2日目の初回、新宿の劇場は20分ちょっと前に開場。ところが連携ミスでまだ掃除中ということで、廊下で1〜2分待って入場。観客層は中年層がメインという感じで、若い人もチラホラ。高齢者はちょっと少なめ。最初は12人くらいいて、女性は2人ほど。その後、少し女性も増えて1〜1.5割くらいに。最終的には117席に6割くらいの入り。こんなものかなあ。出来は悪くないので、もっと入っても良いと思うけど。 10分ちょっと前からロゴが出て、10分前からシネマ・チャンネル。終わって半暗になり、CM、非常口案内からランプが消えて、予告。ラストにマナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がってフル・サイズで足元注意、迫力の映画泥棒、映倫で、黒画面になって本編へ。 |