2024年9月21日(土)「ラストマイル」

2024・TBSスパークル、TBSテレビ、東宝、毎日放送、CBCテレビ、RKB毎日放送、HBC北海道放送・2時間09分

ビスタ・サイズ/音響表記なし
(『HELLO! MOVIE』方式に対応した視覚障害者用音声ガイド・聴覚障害者用日本語字幕付き)

公式サイト
https://last-mile-movie.jp
(全国の劇場リストもあり)


76点

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 良くできたミステリー。楽しめた。ちょっとしたユーモアと、社会問題でもある物流の現状や、流通の黒船的な外資の大手ネット・ショッピング・サイトの利益優先経営、そして母子家庭の小さなトラブルまでも取り込んで、見応えのあるエンターテインメント作品としてまとめられている。

 最初に予告を見たときは見る気でいたのだけれど、シェアード・ユニバース・ムービーなどとマーベルみたいなことを言い出して、見る気を失った。TVドラマの「アンナチュラル」と「MIU404」が関わってくるのだと。どっちも見てないし。結果的には、TVドラマを見た人だけがわかるような楽屋落ち的な要素はないようで(どちらも見ていないのでわからない)、単に検視を「アンナチュラル」のチームが担当し、事件捜査の一部を「MIU404」が担当するということだった。これなら、必要以上に豪華な感じはしたものの、違和感はなく、ストーリーの邪魔もしない。ああ、良かった。見てないとダメかと思った。

 とにかく良いのは脚本。映画のための完全オリジナルだそう。すばらしい。ミステリーは緻密に構成され、簡単に先を読ませない。見事な伏線。しかも、間違った推測をさせて、それをひっくり返してみせる。巨大物流倉庫の舞台裏も見せつつ、リアルらしい数値データさえ盛り込み説得力を増しながら、その実態を浮き彫りにする。うまいなあ。しかも、それぞれの登場人物にリアリティがあって、存在感もあって、それぞれのドラマから感情がよく伝わってくる。書いたのは、「アンナチュラル」も「MIU404」も手がけたという野木亜紀子。

 公開30日目の初回、新宿の劇場へは、人身事故の影響で電車が止まりギリギリ本編上映10分前、シネマ・チャンネルが始まった頃に到着。観客層は若から中年層がメイン。どちらかというと若い人が多かった印象。女性の方が多めで、たぶん男女比は3対7くらい。9席×2列のP席は1か2席残してすべて埋まり、TCX対応の499席の7割くらいが埋まった。公開から1カ月もたっているというのに! すごいなあ。

 シネマ・チャンネルのあと半暗になり、案内、CM、非常口案内でランプが消え、予告。そして新しいマナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機の左右マスクのまま足元注意、枠付きの映画泥棒、映倫で、TOHOロゴとTBSロゴから始まる本編へ。

 それにしても、冒頭、タイトル前のアヴァンの画質は良くなかったのはなぜ? あえて狙った演出なのだろうか。古い映画か昔のビデオのような印象。爆発のデジタル処理でこうなった? 不思議。


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