てっきりアメリカの内戦を描いた戦争映画かと思ったら、その戦争を記録する報道カメラマンを描いたロード・ムービーだった。もちろん背景というかベースはアメリカの内戦なのだが、どうしてそうなったとか、戦いがどう展開していったのかとかはほとんど描かれていない。まあ、そこがA24らしいか。 特ダネ(?)として、すでに劣勢となっているらしい政府軍のリーダーである大統領に直接インタビューするため、ニューヨークからワシントンD.C.を目指す。しかも見習いのような半人前の少女カメラマンまで連れて。そして途中様々な人々が関わって来て、見習いもいろんな経験をして一人前になっていくと。もちろん主人公にも心境の変化がある。そして人的な環境の激変もあって…… この辺はロード・ムービーのパターンかなあ。 報道カメラマンというか戦場カメラマン(フォトグラファー)の話だと、ロザムンド・パイクの「プライベート・ウォー」(A Private War・2018・英/米)があった。命がけの取材とPTSD(心的外傷後ストレス障害)の問題など、とてもよく似ている。というか、戦場カメラマンのことを描くとみんなこうなってしまうということかもしれないが。 戦闘シーンもリアルだし、残虐シーンもかなりリアル。血が飛ぶシーンもあるが、ここぞというシーンでは、撃たれて倒れてからシャツに小さなシミができ、それが次第に大きくなっていく。アメリカ人じゃないということでいきなり撃たれたり、その異常な感じがかなり怖い。そして気持ちはドーンと落ちる。 やはり良いのは女性2人。キルステン・ダンストは「スパイダーマン」(Spider-Man・2002・米)のイメージが強いが、すっかり大人で、しかもベテラン感もにじみ出ていた。貫禄があるというか。一方、若手のカメラマンを演じたケイリー・スピーニーは、新人らしい生意気さと、現場に慣れていないおどおどしたような感じが入り交じっていて見事。「エイリアン:ロムルス」(Alien: Romulus・2024・英/米ほか)で主人公を演じていた人。印象が全く違って、同じ人とは思えなかった。この演技力。やはり要注目だろう。 結構タバコが出てきた気がするが、いまどきこのイメージはあっているのだろうか。それともジャーナリストはタバコを吸うというイメージなのだろうか。 銃は、イオテック付きのM4カービン、1911っぽいオート(imfdbによるとハイパワー)、グロックらしいオート、MP5K、SR25系のスナイパー、FN MAG、ミニミ、M2ブローニング、など。軍用車両はハンビーの他、M1エイブラムス(フェイクらしい)、車両底面がV字になった装甲車両も出ていた。戦闘シーンがリアルだなあと思ったら、公式サイトによると、元海軍特殊部隊(SEALs?)のレイ・メンドーサという人が軍事アドバイザーを務めているそう。 カメラは、主演のキルステン・ダンストが使っていたのはロゴが黒くツブされていたけれど、新人少女カメラマンはセリフでも出てくるように、フィルム・カメラのニコンのFE2。父の(形見の?)カメラとかで、モノクロ・フィルムを缶の中に入れ自分で現像している。良いカメラだと先輩が言う。 公開10日目の初回、日本橋の劇場はオープンが30分前くらいで、本作の入場は17〜18分前。観客層は中高年の高寄り。女性は1/3くらいで、若いカップルが1組ほど。最終的には119席に20〜30人ほどの入り。さすがに10日も経つとこんな感じか。フル・スクリーンに映写機の左右マスクで上映。 |