これはビックリ。異常な犯罪者だらけの中でも、さらに異常な男の裁判を描いた作品なのに、ミュージカルだったとは! ボクには違和感なく見ることができたが、ミュージカルが苦手という人には受け入れられないかもしれない。しかし、映画としては絵も音も素晴らしく、演技もリアルで説得力があり、とてもよくできていると思う。素晴らしい。 ただ、楽しめたかと聞かれると、そこは難しい。賛否両論かも。ちっとも楽しい映画ではなく、悲惨で異常な話。精神に異常を来した危険な人々と2時間18分(3時間以上に感じた!)の間、むりやり一緒にいさせられたような感じ。怖い、不快、悲しい、辛い、気持ち悪い。そして落ち込む。元気じゃないときは見ない方が良い。IMDbでは5.3点の低評価。 これって、バットマンとは全く何も関係ない話。無理にこじつけると、この事件がきっかけとなりジョーカーと名乗る別者が現れて…… ということだろうか。あるいは彼女が代わりにジョーカーになる? まさかベイビーがいてその子が大きくなって…… 考えすぎか。 それにしても、ミュージカルは悲惨な話を歌で明るく描くことが多いけれど、ここまで正反対な内容も珍しいのでは。暴力や異常行動をミュージカル的に様式化することなく、そのままリアルに描いている。そして妄想も含みながら、登場人物に歌わせる。 フォリ・ア・ドゥはフランス語で、英語だとCrazy for Twoになるそうなので、2人狂い? どうも精神障害の妄想性障害の1つなんだとか。同じ妄想を2人で共有するらしい。 ガリガリに痩せて骨が浮き出たホアキン・フェニックスが素晴らしいのももちろん、相手役のレディ・ガガが素晴らしい。「ハウス・オブ・グッチ」(House of Gucci・2021・米/加/英)も凄かったが、本作も凄い。怖い。 こういう脚本を書けて、監督できる人というのは、普通の感覚の持ち主ではないのではないだろうか。もの凄い天才か…… トッド・フィリップスという人は、過去にレディ・ガガの「アリー/スター誕生」(A Star Is Born・2018・米)の製作をやっているが、さらに過去には、日本では劇場未公開となったアクション・コメディ「スタスキー&ハッチ」(Starsky & Hutch・2004・米)の脚本・監督をやっている。そして、気持ち悪いほどの異常な世界を描いたコメディ「ハングオーバー」(The Hangover・2009・米/独)シリーズも撮っている。アメリカでは非常に高評価のようだが、とても同じ人とは思えない。前作「ジョーカー」(Joker・2019・米/加/豪)を撮ったのも同じ人だが……。 銃は、レディ・ガガ演じるリーが手に入れるのがS&WのM36チーフらしいスナブノーズ。 公開4日目の初回、新宿の劇場は30分前くらいに着いたら、すでに開場済み。入ったら4〜5人が座っていた。その後徐々に増えていき、最終的には407席に8.5割くらいの入り。観客層は中高年メインのやや高寄り。男女比は6対4くらいで男性がやや多め。上映ギリギリになって若い男性も少し増えた。10席×2列のP席は4〜5人が座った。シネスコ・フルで本編へ。 |