史実に着想を得たアクション・エンターテインメント。公式サイトでは「東映が誇る集団抗争時代劇」としている。お話のコンセプトとしては「特攻大作戦」(The Dirty Dozen・1967・米)と同じ。罪人で決死隊を組織して、無罪放免を条件に遂行不可能というか、ほぼ全滅となる作戦を実行するお話。 血だらけというより、血まみれとか血みどろといった感じのファンタジーともいえるのかもしれない。なかなか面白く、引き込まれて目が離せなくなった。2時間35分はそれほど長く感じなかった。まあ2時間くらいの感じか。ただバイオレンスはかなりリアルで、怖くて恐ろしい。これでPG12? 子供は見に来ていなかったけど。 思っていたより大予算のようでスケールも大きく、デジタル・エフェクトも多用されているものの、実際に砦のオープン・セットが作られているよう。有名俳優もたくさん出ている。ただお笑い芸人はちょっと出過ぎかも。みなさん演技はうまいのだけれど、お笑いのイメージが強すぎて、1シーンだけとかに出ている場合など、雰囲気が変わって、とってつけたような感じ、浮いた感じになってしまう。ひょっとして吉本興業が製作委員会に入っているとか? 印象に残ったキャスト、出演者はやはり主演の、部隊のリーダーで武士の鷲尾を演じた仲野太賀と、紅一点のなつを演じた鞘師里保。仲野太賀は映画作品は見たことがないが、TVで見かけたことがあるくらいだったが、本作では光っている。今後注目かも。また鞘師里保はもとモーニング娘。だそうで、こちらも知らなかったのだが、地味な中に確かな存在感があって良かった。意外なところでは、歌舞伎役者の尾上右近のギャンダラーが良かったし、老人の剣豪の本山力が怖くて迫力があって良かった。そして、新発田藩の人物を演じた方々は、新潟弁が大変だったのではないだろうか。ほぼ忘れかけているが、新潟出身のボクが聞いてもみなさん自然な感じがした。 銃は、主に賊軍が旧式の火縄銃で、攻める官軍はパーカッション(エンフィールドかスナイドルあたりか)。松尾諭演じる武士が罪人たちに使い方を教えるのに、武器の新旧じゃない、精神力だというようなことを言っていたのが面白かった。W主演の山田孝之が、敵から奪ったパーカッションを何挺も担いで、次々と持ち替えて連射していたのも、なかなか良かった。若殿が持っていたのはコルト1851ネービーだっただろうか。ガン・エフェクトは早川光。そうそう、官軍の大砲はちゃんと後装式になっていて、ちらりと装填シーンがあったのが興味深かった。発射の反動はちょっと少なすぎる気がしたが。 公開3日目の初回、日比谷の劇場は19分前くらいに開場。観客層は中高年メインの高寄り。男女比は、最初15人くらいいて、女性は5人ほど。最終的には151席にたぶん4.5割くらいの入り。バイオレンスはキツイものの、もっと入っても良い作品だと思うけど。 マナーと忘れ物注意のあと暗くなって、映写機のマスクが左右に広がり、フルのシネスコ・サイズで、足元注意、映画泥棒、映倫と続いて、東映の波が打ちつけるロゴから始まる本編へ。東宝の劇場で東映のロゴが、ちょっとした違和感というか面白く、意外な新鮮さもあった。 |