なんか昔の香港映画のテイストを漂わせたノスタルジックな映画らしい映画。1980年代の香港が舞台なので、この映画が可能になったのだろう。しかも実情が良くわからなかったとも言われる九龍城(九龍城砦)では、こんなドラマが展開されていたかもしれないという映画。中国返還前の香港だから許される作品で、現代が舞台だったら描けなかっただろう。もちろん基本的に中国政府を批判するようなことは毛の先ほども触れられていない。ただ、中国に返還され九龍城も取り壊されると、香港は変わるだろうと。しかし変わらないものもあると。そのくらい。 アメリカのウインチェスター家のミスリー・ハウスのように、増築に増築を重ね、巨大な迷路のようになってしまった九龍城が、セットと3D-CGによりリアルに再現されている。近くに啓徳空港があり、ジャンボ・ジェットなどが九龍城の上を超低空で飛ぶようすとか、かつて香港映画で見たとか、実際に行ったことかある人には、より懐かしいのではないだろうか。 ヤクザ(黒社会)を描いた任侠映画であり、カンフー・アクションであり、歴史物的でもあるかなあ。実際の出来事もうまく取り入れながら、感動的な物語を構築している。昔の香港映画はこうだったという感じ。いまは中国映画になってしまったのかも。 1980年代の時代感もまた素晴らしい。タバコ、ロン毛、リーゼント、ディスコ(荻野目洋子の「ダンシングヒーロー」香港版?)、カラオケ(吉川晃司の曲?)、AVビデオ(日本のと言っていたような。映画などのVHSも日本の文字が)……そしてラストのエンド・ロールでの歌とか。あのころ香港はこんなだったんだという郷愁というか感慨深さなども感じさせてくれた。 素晴らしい格闘シーンのアクション監督は谷垣健治、音楽は川井憲次。 武器は基本刃物で、青竜刀みたいなヤツから日本刀、鎌、ハンマー?などなど。銃は1911っぽい角張ったオートとAKが登場。 公開2日目の初回、新宿の劇場は10分くらい前に開場。スクリーンはシネスコ・フルで開いていて、8分くらい前から案内、CM、予告。観客層は若い人から中高年まで割りと幅広く、いつもよりは若い男性が多め。男女比は半々くらいだった。最終的に226席の9割くらいが埋まった。素晴らしい。 ちょっとした予告のあと非常口案内から半暗になり、CM、再び予告。ラストにマナーで映写機のマスクが左右に広がり、フルのシネスコになって映画泥棒、映倫で暗くなり、本編へ。 |