はっきり言って、よくわからなかった。株投資の基本的なことがわからないと、なぜトニー・レオン演じる詐欺師的な主人公チンが成功したのかがわからない。しかも、映画ではチンのダークな面を描いておらず、ほとんど犯罪者としても描いていないので、悪人に見えない。だから、なぜアンディ・ラウ演じる汚職対策独立委員会(ICAC)の捜査官ラウが、「レ・ミゼラブル」の警官ジャベールのように15年もの間追い続けたのかも良くわからない。そのため、人が殺されたりしているのに全体的に退屈。 おそらく、1980年代、中国返還前の香港の狂乱のバブル時代をノスタルジックに描きたかったのではないだろうか。だからあまり血なまぐさくしたくなかったのかなと。そして返還前の出来事でないと中国映画としてはいろいろ描けないこともあるのかと。これは「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」(九龍城寨之圍城・2024・香/中)と同じ感じ。1980年代の時代感は良かった。やっぱり多くの人がタバコを吸っている。連絡はポケベルで。取り調べの録音はオープン・リール。たしか1980年代末ころだったと思うが、香港に行ったことがあり、あの頃にこんな事件が起きていたとすると、裏通りの路地などに漂っていた怖い雰囲気はホンモノだったのかなあと……。ペニンシュラ・ホテル、近くまで行ったなあ。 キャストではトニー・レオン、アンディ・ラウ、サイモン・ヤムがほとんど昔と変わらない感じで良いのは当たり前として、株のプロのヤムを演じたマイケル・ニンが見る角度によってはレオナルド・ディカプリオみたいに見えて良かった。またトニー・レオンの妻役の役者さんも、名前がわからないが、見る角度によっては川上麻衣子に似ていて印象に残った。そう言えばトニー・レオンも本作では見る角度によって大泉洋に似て見えて……。 印象に残ったフレーズ(セリフ)があって、「酒は人の顔を赤くするが、金は人の心を黒くする」というもの。中国のことわざだろうか。そして15年追い続けてやっとチンを有罪にできた父に息子が言ったという言葉「缶詰は1810年に発明されたが、缶切りが発明されたのは1858年になってからだった。それでも役に立った」。 銃は、1970年代に出てきたのがコルトのローマン2インチあたりのエジェクター・ロッド・ガード付きのリボルバー。フィリピンの戦場ではAK、1911オート、戦車はT-34だったか。そしてRPGを撃たされたり。潜入捜査官を撃ったのはコルトM1903らしいオート。東マレーの護衛はM16。 エンド・ロールの最後に、お約束の劇終 THE ENDの文字。やっぱりこれがないと。 公開3日目の初回、日本橋の劇場は15〜16分前に開場。ここは開場案内のモニターがないのでわかりにくい。アナウンスに注意していないと。観客層はほぼオジ、オバの中高年。男女比は最初半々くらいだったのが、後半女性が少し増えて4.5対5.5くらいに。やっぱりオバが大きな声でペチャクチャとうるさい。もうちょっと小声で良いだろ。最終的には128席に8割くらいの入り。 10分前くらいからシネマ・チャンネル。福本莉子のドレスが紺色に。終わって半暗になりCM。非常口案内からランプが消えて、予告。ラストにマナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がって、足元注意、迫力の映画泥棒、映倫と続いて本編へ。 |