楽しめた。良くできた物語(ミュージカル)と、豪華で美しい舞台、見事な衣装、素晴らしい曲と歌…… これぞエンターテインメント!という映画。2時間41分が長く感じない。ちょっとだけ眠くはなったけど、早起きのせいだろう。ただ、2時間41分も掛けて、終わらないのかーい! ボクはせいぜいジュディー・ガーランドの「オズの魔法使」(The Wizard of Oz・1939・米)とか、マイケル・ジャクソンの「ウィズ」(The Wiz・1978・米)を知っているくらいで、ミュージカルの「ウィキッド」は全く知らない。その状態で見て、ちゃんと楽しめたし、「オズの魔法使い」からのつながりもあちこちにあって、良かったという印象。悪党の構造というか、仕組みも一緒。冒頭、ドロシーとその仲間たちがイエロー・ブリック・ロードを歩いているし。 ボク的には、ミュージカルは悲劇的な出来事を歌とダンスでオブラートに包むようにして観客に伝えるものという側面がある気がしていて、本作もストレートに描いたら、かなり悲惨な話。不倫で生まれた子が人とは違う外見で、血のつながらない父親に差別されながら育てられ、家の外でも仲間はずれにされ、いじめられ、でも頭脳明晰で最高学府まで行って特別待遇を受けながら、人権運動のようなものに手を染め大学から追放されてしまうという、波瀾万丈な展開。これは辛い。で、パート1はここで終わる。 人は外見とは違うことがあるということ、人を外見で判断してはいけないということは、繰り返し描かれている。イジメは悲惨になる一歩手前までしか描かれていないが、おそらく世界中でイジメの対象になりそうな主人公。それが悪い魔女で、本当は良い人。一方は、麗しい美貌を持つ悪意のない美女で、良い魔女になる人。悪い人ではないのに、アンチになってしまうパターン。アメリカではというか、ハリウッドのパターンではいじめっ子になるパターン。パート1ではそこまで描かれておらず、どうなるのかわからない。この良い魔女を見事に演じたのはアリアナ・グランデ。その微妙な感じが実に素晴らしい。 もちろん緑の魔女は素晴らしい。ヘンテコな眼鏡は気になったが、緑色が不自然でなく見えたのはシンシア・エリヴォの演技力だろう。ボクが見た作品だと、アメリカの奴隷制を描いた実話の映画化「ハリエット」(Harriet・2019・米/中)で主演していて、やっぱりうまい人なんだなあと。 監督はジョン・M・チュウ。「クレイジー・リッチ!」(Crazy Rich Asians・2018・米/中)はあまり好きではないが、「イン・ザ・ハイツ」(In the Heights・2020・米)は良かった気がする。ミュージカルに向いている人なのかも。たしか「イン・ザ・ハイツ」も長かった。 銃は、兵士がパーカッション系のようなライフルとピストルを持っている。ただ使うのは剣のみ。撃たない。 公開12日目の平日初回、新宿の劇場は15分前に開場。やはりメインは中高年。ただ中年層が多い印象。火曜日が定休という人たちだろうか。大学生くらいのカップルも2〜3組。男女比は3対7くらいで女性が多め。ギリギリになって女性が増えた感じ。最終的には499席にだふん50人ほどの入り。まあ平日の初回はこんなものだろう。9席×2列のP席には女性が1人。これはびっくり。平日はとても気楽で、ゆったりとした気分で見ることができるが、逆にちょっと寂しい気もする。感情を共有できる人が少ないという……。 シネマ・チャンネルのあと半暗になり、案内とCMから予告が続き、暗くなって映写機のマスクが左右に広がり、フル・サイズになってTCXデモ、まだ入ってくるヤツがいて(しかもケータ点けて)、ATMOSデモ、足元注意、映画泥棒、映倫で本編へ。 予告の段階から、たぶん4Dスクリーンの振動が伝わってきて、良くあるのに地震かとドキッとした。不快。直して欲しいなあ。 |