ミュージカル映画というか、ボクには音楽映画という印象。もちろんダンス・シーンや、コンサート・シーンは素晴らしい。スケールも大きく、美しく、ユニークで、圧巻。芸術性が高い。見る価値がある。それでも、主人公だけがチンパンジーで成立するのかと思ったら、冒頭からほぼ何の違和感もなく、ラストには感動までして、あやうく涙が出そうになった。アリなんだなあ。ビックリ、そして芸術家としての監督の発想、表現なんだなあと感心させられた。 そして思ったのは、ミュージシャンを描くと、ドラッグとアルコールからは逃れられないのかなとも。有名人になること、常に誰からも見られていて、常に新作を期待され、常にステージの緊張を強いられ、常にプレッシャーをかけ続けられる毎日、薬が手に入りやすい環境ということもあるのだろう。欧米では当たり前になっているような印象さえある。 なぜタイトルがベター・マンなのか、映画を見てわかった。そういうことだったのか。ただ、なぜチンパンジーだったのかは映画では明確に語られていなかったようで、ボクは顔とかの印象が何となくチンパンジーに似ていたからなのかと思っていたら、公式サイトによるとロビー・ウィリアムス本人が自分のことを「パフォーミング・モンキー」と評していたそうで、そこから取られているらしい。そしてロビー・ウィリアムスは製作総指揮を務めているので、本人も納得の設定なのだろう。そして歌では本人の声も使われているらしいが、演じていたのは本人ではなく役者さんで、モーション・キャプチャーのマーカーを付けて演技したらしい。 監督のマイケル・グレイシーはVFXと音楽製作のバックグラウンドを持ち、アニメーターと視覚効果コンポジターとしてミュージック・ビデオやコマーシャルに関わり、数々の賞に輝いていてるという。そして「グレイテスト・ショーマン」(The Greatest Showman・2017・米/中)で華々しい監督デビューを飾った。その後エルトン・ジョンの半生を描いた「ロケットマン」(Rocketman・2019・英/米/加)で製作総指揮を務め、ミュージック・ビデオやネット作品を挟んで本作にいたるらしい。音楽系と映像表現に優れているのはそういうわけだったのか。 公開2日目のATMOS上映初回、日比谷の劇場は22、23分前に開場。観客層は中高年メインながら若い人もいて幅広く、女性(オバサン世代)がやや多め。最終的には386席に60〜70人くらいの入り。注目度が低いのだろうか。男女比は3.5対6.5くらいで女性が多かった。9席×3列のP席には6人くらいが座り、こちらも女性が多め。ロビー・ウィリアムスのファンだけとか? 映画として面白いと思うんだけどなあ。 10分前くらいからシネマ・チャンネル。終わって半暗になり、CMと案内。ラストにマナー、忘れ物注意があって暗くなり、映写機のマスクが左右に広がりシネスコ・フルになると、TCXデモ、幾何学パターンのATMOSデモ、足元注意、迫力の映画泥棒、映倫につづいてTOWAのロゴから始まる本編へ。パラマウントのロゴは夕日の山のパターン。 |