2025年3月30日(日)「ミッキー17」

MICKEY 17・2025・米/韓・2時間17分

日本語字幕:手描き風書体下、松崎広幸/ビスタ・サイズ(ARRI、IMAX。IMDbでは1.85、Arri Alexa 65、Arri Alexa Mini LF)/ドルビー(IMDbではドルビー・デジタル、ドルビーATMOS、dts、ドルビー・サラウンド7.1、IMAX 6-Trackも)
(米R指定、韓15指定)(日本語吹替版、IMAX版、ATMOS上映、4D上映などもあり)


公式サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/mickey17/index.html
(全国の劇場リストもあり)

76点

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 強烈なSF映画。ガツンとやられた。夢に見そう。謎のモンスター“クリーパー”が宮崎アニメの「風の谷のナウシカ」(1984・日)のオームによく似ているので、全体の印象も日本人的にはどうしてもそっちに引っ張られがち。この映画の柱の1つはクリーパーで、もう1つの柱が人体プリンターによるクローンということになるだろう。どちらも悲劇を生み出すことになってしまう。そこが辛い。そしてその感情がよく伝わってくる。

 製作会社の1つがプランB。これはブラッド・ピットなどが設立した会社。なのでブラッド・ピットの名も製作総指揮の1人として入っている。そして監督のポン・ジュノは脚本も手がけ、製作としても名を連ねている。ポン・ジュノといえば、ボクが見たもので言うと「グエムル -漢江の怪物-」(Goemool・2006・韓)や「母なる証明」(Madeo・2009・韓)、「スノーピアサー」(Snowpiercer・2013・韓)、「パラサイト 半地下の家族」(Gisaengchung・2019・韓)など、いずれも映画として大変面白く、強烈な作品ばかりを手がけている。こんなに凄い作品を連発するなんて、ある種天才なのではないだろうか。

 本作の製作はプランBが手がけており、製作総指揮にはブラッド・ピットが名を連ねている。本作で間違いなく世界的な映画監督、映画作家になったと言えるのだろう。そしてそれは当然の結果だ。次作も進行中らしいが、とても楽しみだ。

 もちろん主演のロバート・パティンソンは素晴らしいけれど、特に良かったのは悪役夫婦を演じたマーク・ラファロとトニー・コレット。見事な悪役っぷり。なんと嫌らしい人間たち。本当に腹が立ち、憎たらしくなってくる。

 「グエムル -漢江の怪物-」からつながるモンスターは、日本アニメ好きを公言するポン・ジュノ監督なので、もちろん宮崎駿監督へのオマージュだろう。敬意を払っている感じが伝わってくる。そして「スノーピアサー」からつながるSF感も素晴らしい。全体のセットや、宇宙船、人体プリンター、宇宙服なども、説得力があり本格SFを語るに足るものとなっている。

 物語の展開はおとぎ話的だが、残酷表現はリアルで、使い捨て(エクスペンダブル)や人体実験、リセット、カエルの解剖などはグサリと刺さる。

 ちなみに、タイトルが出るのは遅く、ほとんど半分くらいが過ぎた頃。たぶんミッキーが何回も死んで、ミッキー17がメインになったタイミングだったのではないだろうか。そして数字が17から18、19に変わりそうに‥‥。ラストにもタイトル。クレジットが出る前。ここでも数字が17から18に変わりそうになる。

 銃は、警備部隊のような人たちがグロックを使用。特殊部隊はM4カービン系の銃を使用。

 公開3日目の字幕通常版初回、新宿の劇場は15分くらい前に開場。観客層はほぼ中高年のオヤジ。最初女性は10人中2人くらいだった。失敗したのは、この劇場でこのスクリーンのみ長細く、スクリーンも低いので、後ろの方に座ると前席の人の頭が邪魔になるのだった。忘れていて後ろを取ってしまった。ただあまり混雑しなかったのと、前席の人の座高が高くなかったのでぎりぎりセーフ。次は注意しなしと。最終的にはP席なしの184席に6割くらいの入り。掛かっている都内のスクリーンも小さめが多く、あまり期待されていないのだろうか。それとも「パラサイト」的なグロな部分を用心したか。もっと、もっと入っても良い作品だと思う。

 10分くらい前からシネマ・チャンネル。終わって半暗になり、案内とCM。非常口案内からランプが消え、本予告。ラストにマナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機の左右マスクのままビスタで足元注意、枠付きの映画泥棒、映倫で、WBのウォーター・タンクから始まる本編へ。冒頭は雪に埋まっている男のアップ。


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