マカロニ・ウェスタン調の曲で始まる戦争アクション。なかなか面白かったが、ちょっとB級テイストが強すぎた気もする。バイオレンス表現はかなりどぎつく、リアル志向だが、全体としては実話に基づきながらも、ちょっとファンタジー傾向かなと。わざとらしいというか、芝居がかっているというか‥‥ その辺をどう評価するか。この作品を作った人が「コヴェナント/約束の救出」(The Covenant・2023・英/西/米)も撮っているわけで、同じ人とも思えないくらい。まっ、元々どちらも撮れる人ではあるわけだが。 雰囲気としては昔よくあった痛快アクション風だが、むしろズバリ、クエンティン・タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」(Inglourious Basterds・2009・米/独)のような感じと言った方が当たっているかも。実話に基づいていて、007の原作小説家イアン・フレミングが実名で出てくるところは「オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体」(Operation Mincemeat・2021・米/英)と似ているとも言えそう。そんなわけで、映画としてはあまりオリジナリティは感じられないのだが、原作があって、2016年に明らかにされた実話に基づいているということなので、たまたま似ていたということなのだろう。なんとなくヒトラーの設定がトランプ大統領のようだったのは気のせいか。 出演者で、悪徳ドイツ軍将校ルアー大佐を演じていたティル・シュヴァイガーは、「イングロリアス・バスターズ」では元ドイツ兵でバスターズに加わる軍曹を演じていた人。ドイツ人ではありながら、正反対の立場というのが興味深い。当然、狙いではあるのだろう。あと、紅一点のマージョリーを演じたエイサ・ゴンザレス(マイレル・ベイの「アンビュランス」(Ambulance・2022・米/日)で救急車の救命士を演じていた人。歌ってた歌は「マック・ザ・ナイフ」?)がいいのはもちろんとして、イギリス軍のMを演じたケイリー・エルウィズ(正統派おとぎ話の「プリンセス・ブライド・ストーリー」(Princess Bride Story・1987・米)でプリンスを演じていた人)が味があって良かったし、怪力のスウェーデン人ラッセンを演じたアラン・リッチソン(シリーズ10作目の「ワイルド・スピード/ファイヤーブースト」(Fast X・2023・米/中/日)に出ていたらしい)も印象に残った。 銃は、第二次世界大戦ものの定番銃だが、特殊作戦部隊の話ということで、サイレンサー(サウンド・サプレッサー)が使われている。メインの銃はサプレッサー(やや太い?)の付いたステンMkII(S)、とハンドガンは1911のサプレッサー付き。イギリス軍はSMLEライフル、あとルイス・マシンガンも出ていなかったっけ?。ドイツ軍はKar98k、MP40、P38、MG34の2連装(銃架についているのに振動しすぎ?)など。地元の抵抗組織は、各国の銃器を取りそろえていて、トンプソンM1928、S&WのM1917リボルバー(フロント・サイトがタナカのモデルガンっぽかった)なども。潜入した二人は、RHがタクシー・ドライバーのように袖に隠して使うコルト・ポケットと同型のFNポケット(トイガンっぽかった)、マージョリーがシルバーのダブル・デリンジャー(これもトイガンか、プロップぽかった)を定番のガーター・ベルトに付けている。補給船がイタリアの船という設定だからか、ベレッタのサブマシンガン、モデル38も出てくる。8.8cm砲も出てきて砲撃するが、このために作ったものだろうか。 公開3日目の初回、といっても昼近く、新宿の劇場は10分ちょっと前に開場。各スクリーンはそれほど混んでいなくても、ロビーが狭くて混み合っている。内装が暗くて、トイレも暗い感じで、ちょっと昭和な場末感が‥‥。観客層は中高年がメインで、若い人もいたかなあという程度。女性は1〜2割くらい。最終的には226席の5.5割くらいが埋まった。まっ、こんな感じか。 スクリーンはシネスコ・サイズで開いていて、7〜8分前から案内と予告。マナーのあと予告が続き、非常口案内のあと半暗になってCMと本予告。ラストにマナーが合って、映写機のマスクが左右に広がり、フル・サイズの映画泥棒、映倫と続いて暗くなり、KADOKAWAのロゴから始まる本編へ。 |