なかなか怖いスパイ・アクション。テロで妻を殺された主人公(「アメリカン・アサシン」(American Assassin・2017・米/香)とか、よくあるパターンながら)の悲しみがよく伝わってきたし、大きな組織の、大きな権力を持っている者の暴走の恐ろしさもよく伝わってきた。テロリストの組織よりそういう政府の組織の方が怖いくらい(陰謀パターン)。その逆転現象を同時に見せるところが目玉の1つか。 さらには、主人公がアマチュア、シロートゆえに、いつ失敗するのかわからない怖さもある。いつ逆襲を喰らうのか。敵と味方の両方から追われ、危機また危機の連続。そこがスゴイ。そしてスパイものとして、007映画張りにロンドン、パリ、イスタンブール、マドリード、コンスタンツァなど世界を股に掛けるスケール感も良い。 ただ、プールの破壊は、下に人がいなかったのか、巻き込まれた人はいなかったのか、ホテル側の被害などが気になった。映画では良くあることなので、見ているときは気にならなかったが、後で考えるとどうだったんだろうと。加えて、ああいうプールって水族館の水槽と一緒でアクリル樹脂とかじゃないかと思うのだけれど、ガラスみたいにヒビが入ったり、砕けたりするんだろうか。映画的な表現としてそうしたかったのかもしれないが‥‥ そして、予告で見せ場を見せすぎ。4人の標的に対して、もっとも派手な2人分を予告で見せてしまうなんて! もちろん主演のラミ・マレックは素晴らしいし、CIA教官のローレンス・フィッシュバーンも怖くて良かった、CIAの上司役ホルト・マッキャラニーはいつもどおり、出てきたら悪いヤツだなとわかるくらい悪くて良かった。中でも良かったのは、コード・ネーム“インクワライン”の情報提供者を演じたカトリーナ・バルフが良かった。TVドラマの「アウトランダー」に出ていた人らしいけれど、ボクは見ていないのと、映画の過去作で見ているものが何本かあるのに全く印象にない感じ。本作は役柄も良くて、とにかく印象に残った。いい感じ。CIAの黒人上司と、命を助けことがあるという髭の工作員は、存在が中途半端だったかなあ。 銃は、テロリストたちがHK33っぽいライフル。ローレンス・フィッシュバーンが持っていたのはP226のようなハンマー式オート。インクワラインが持っていたのはマカロフっぽく見えた。特殊部隊はM4系のカービンでサウンド・サプレッサー付き。ラストで使うのはグロック。インターボールはM4系のショーティ。 ちなみに、プロデューサーの1人がラミ・マレック。 公開9日目の初回、多くの劇場はすでに小さなスクリーンに落ちていて、その中でも大きめで時間の合った新宿の劇場は15分くらい前に開場。エスカレーターで上がるとちょうど予告が始まったくらい。観客層は意外と若い人たちもいて、中年層メインの高齢者までという感じ。男女比は5.5対4.5くらいで、やや男性の方が多かった。まっ、アクションだし。むしろ思ったより女性が多めなのが驚き。最終的には127席の9割ほどが埋まった。 スクリーンはシネスコ・フルで開いていて、予告の後半暗になってCM。QPはいつもより画質が良いと思ったら、100周年とかの新CM。アキラ風のバイクが気になった。そのあと枠付きの映画泥棒ね映倫、があって、本予告。最後に映写機のマスクが左右に広がり、フル・サイズで本編へ。後ろの方の席に座ったら、座高の高い人なのか前席の頭がちょっとじゃまで、字幕が読みにくかった。 |