2025年4月20日(日)「プロフェッショナル」

IN THE LAND OF SAINTS AND SINNERS・2023(公式サイトでは2025)・アイルランド/米/中/スイス/英/仏・1時間46分

日本語字幕:丸ゴシック体下、西澤志保/シネスコ・サイズ(撮影機材の表記なし。公式サイトではシネスコ。IMDbでは2.39)/音響方式表記なし(公式サイトでは5.1ch。IMDbではドルビー・デジタル)
(米R指定、英15指定)


公式サイト
https://professional-movie.jp
(音に注意。全国の劇場リストもあり)

74点

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 かなり怖い。が、内容的にはB級映画によくある殺し屋引退アクション。腕利きの殺し屋が引退を決めると事件が起きるパターン。ただ、本作は1974年のテロに揺れるアイルランドが舞台で、正しいと信じることのために凶悪化していったテロリストと、殺される者の最後の1分の言葉を聞き続け変わっていった殺し屋とが戦うことになるところが異なる。それによってこの映画がアクションとして恐ろしくて、ドラマとして深いものになっているのではないだろうか。

 原題は「聖人と罪人の国で」というものらしく、当たり前だがこの映画のことをよく語っている。邦題は話題のメジャーな作品「アマチュア」(The Amateur・2025・米)に掛けて日本の映画会社が勝手に付けたものという感じがプンプンして、ちょっとなあ。

 キャストはすべてがぴったりハマった感じ。どうやら全員が北アイルランド出身らしい(スタッフもアイルランド人が多いらしい)。それぞれに味があって良い。キアラン・ハインズはいかにも田舎の警察の署長というような雰囲気が良かったし、ジャック・グリーソンも1970年代の映画に見る突っ張った感じの若い殺し屋という感じで良かった。特に良かったのが、過激なIRAの女戦士デランを演じたケリー・コンドン。かなり恐ろしくて、しかも信念を持った感じが素晴らしい。銃の撃ち方も様になっているし。

 テロリストの弟、チンピラみたいなゲス野郎を演じたデズモンド・イーストウッドは、クリント・イーストウッドとは関係なし。主人公と何となく良い雰囲気になるお隣さんの未亡人はニーアム(ニーヴとも)・キューザック。1980年代から活躍している人で、よく見かけた気がするのだが‥‥映画では「パリスbyナイト」(Paris by Night・1988・英/加)や「ヒアアフター」(Hereafter・2010・米)などに出ているらしい。ジョン・キューザックとは関係なし。

 監督は、長年クリント・イーストウッド作品に関わり、助監督からプロデューサーになったロバート・ロレンツ。野球スカウトを描いた「人生の特等席」(Trouble with the Curve・2012・米)で監督でデビューし、本作の前に同じリーアム・ニーソンで「マークスマン」(The Marksman・2021・米)を撮っている。

 銃はあまりこだわりなく使われているよう。冒頭タイトル後、警察署長?と空き缶を撃って射撃の腕比べをするシーンで、水平二連ショットガンを使うのだが、これは無理がないかなあ。仮にスラグ弾を使っていたとしても、空き缶に開いた穴は小さかったし‥‥誰も指摘しなかったのか。西部劇などではピストルでよくやるシーン。また劇中でリーアム・ニーソンが水平二連ショットガンをA.H.フォックスだと言っている。これはimfdbによるとアメリカ製の高級銃だそう。ただ劇中のショットガンはサイドロックなのに対して、A.H.フォックスはボックスロックなのだそう。うーむ、なぜ。さらに劇中で、以前はレミントンのモデル17を使っていたと言っているが、これはブローニング設計の20ゲージのポンプ・アクションで、いろんなメーカーのポンプ・アクションのベースになったらしい。つまり脚本レベルでは銃に詳しいのに、予算の関係なのか、こだわりがなかったのか、残念なことになっている。

 さらに銃は、女テロリストがチーフスペシャル、若い殺し屋のスコープ付きボルト・アクションはウインチェスターのモデル70だろうか。殺しを発注するロバートは机の引出にP08を忍ばせている。テロリストたちの1人は19111オート。ラストの撃ち合いでは、女テロリストはチーフのほかにいパワーも使用。リーアム・ニーソンは若い殺し屋が持っていたベレッタ92を使うが、これは最初の量産型が発表されたのが1975年だから、ちょっと時代考証的に厳しいかなと。

 1970年代なので、よくタバコを吸っている。

 公開10日目の初回、日本橋の劇場は12〜13分前に開場。観客層は中高年で、最初8人いて、オバサン1人。ほぼその比率で、最終的には119席に4.5割ほどの入り。うーん、これだと小さなスクリーンでもしようがないかなあ。悪くないのに、ちょっともったいない気も。

 入場してすぐにシネマ・チャンネル。終わって半暗になり、CM、非常口案内からしばらくして誘導灯が消え、ちびゴジラの本予告。ラストにマナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がりフル・サイズになって、足元注意、迫力のフルの映画泥棒、映倫で本編へ。


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