2025年6月28日(土)「28年後...」

28 YEARS LATER・2024・英/米/加・1時間55分

日本語字幕:丸ゴシック体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(シネスコ・フルに少し上下マスク。IMDbでは2.76、iPhone 15 Pro Max+一眼レフ用フルフレームレンズ)/ドルビーATMOS(IMDbにはなし)
(英15指定、米R指定、日R15+指定)(ATMOS上映などもあり)


公式サイト
https://www.28years-later.jp
(全国の上映劇場リストもあり)

73点

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 「28日後...」(28 Days Later・2002・英)と「28週後...」(28 Weeks Later・2007・英/西/米)に続くゾンビ映画第3弾。血まみれで、首が引き抜かれたり切り落とされたり、怖いというよりは気持ち悪い映画。ゾンビの出産シーンもかなりショッキング。しかし、赤ちゃんは感染していないなんてことがあるのだろうか。限りあるはずの弓矢はいくらでも射るし(最初はなくなる)、なんか都合良すぎるような。

 3作目は少年の成長の物語で、息子と母の絆を描くものとなっているが、どうにもどこかで見たような、聞いたような印象が拭えない。成人式の儀式のような、勇気試しのような冒険というかハンティングは、今さらちょっと陳腐な感じも。超大作の「アバター」(Avatar・2009・米/英)とか、つい最近でも「猿の惑星/キングダム」(Kingdom of the Planet of the Apes・2024・米)でも描かれていたし‥‥。印象としては、なんか漫画というかアニメの「進撃の巨人」みたいな感じも。封じ込められた英国の中でも、海で本土と隔てられた塀の中のような小島ねえ‥‥。

 本当は「28カ月後...」となるはずが、新型コロナで実現せず、とんで「28年後...」になったのだとか。ボク的にはただのゾンビ映画という感じで、何本も作るほどのものではないと思うけど、見ちゃったしなあ。

 お母さん役のジョディ・カマーは「最後の決闘裁判」(The Last Duel・2021・米/英)に出ていた人で、脇毛を伸ばしてがんばっているが、それより印象に残ったのは、良い役回りのドクターを演じたレイフ・ファインズ。良い、素晴らしい。奇人的な設定だが、父のような存在で、なぜスパイク少年が一緒に暮らそうとしなかったのか、さっぱりわからなかった。

 イギリスが一度滅んだような設定なので、「マドマックス:フュリオサ」(Furiosa: A Mad Max Saga・2024・豪/米)的な世界観で、イギリス国内の武器は、基本、弓と刃物のみ。感染を封じ込め監視しているヨーロッパ各国はこれまでのままということのようで、スウェーデンの監視部隊はM4というかAR15のショーティとグロックを装備。

 ゾンビどもは、汚れているが、ほぼ全裸。男のなかでもステロイドで巨大化したとかいうアルファは、ぶらぶらするものも大きく、ちょっとキモかった。ほかにもいろいろと気になるところはあったが、まあいいか。

 ちょっとインテリの語りそうな話だが、ドクターの「メメント・モリ(memento mori)」の解説は興味深かった。ラテン語の「死を想え」という言葉で、「人は必ず死ぬ」という意味だと。そして「(母の)愛を忘れるな」というセリフにつながっていく。「メメント・モリ」はゲームのタイトルとばかり思っていたら‥‥ 映画の「メメント」(Memento・2000・米)は、覚えておくためにメモを全身にタトゥーとして入れている記憶障害の男が殺人犯を追い詰めていく話だった。

 ちなみに製作総指揮の1人が、俳優のキリアン・マーフィー。第1作の「28日後...」で主演していて、その辺の関係からだろうか。エンド・タイトルのカクッと文字が動く洒落たデザインはマット・カーティスという人。最近だと「ミッション:インポシブル/ファイナル・レコニング」(Mission: Impossible - The Final Reckoning・2024・英/米)や「Mr.ノボカイン」(Novocaine・2024・米/加/南ア)、「アマチュア」(The Amateur・2025・米)などを手がけている。

 公開9日目の初回、新宿の劇場は25分ほど前に開場。観客層は若い人から中年くらいがメインで、意外と高齢者は少なめ。女性は10人中3人という感じ。この手のジャンルの映画としては多めかも。最終的には86席の8割くらいが埋まった。ゾンビ系は日本ではむずかしいのでは。

 TOHOのロゴが出て曲が流れ、10分くらい前からシネマ・チャンネル。終わって半暗になり、CM、非常口案内で誘導灯が消え、ちびゴジラの予告。ラストに鬼滅のマナー、忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がってフルのシネスコで足元注意から迫力の映画泥棒、映倫と続き、少し上下マスクでSONYのロゴから始まる本編へ。


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