血まみれのアクション作品。あえて言えば悪夢のような映画。目が覚めれば忘れてしまう悪夢を、覚えているうちに細部まで記録に残しておき、そのまま実写映画化したような印象。腕が飛ぶし、頭が潰され、首が飛ぶ。血は飛び散り放題。本当に悪夢で夢に出てきそう。 ただ舞台は、世界大戦後なのか文明が崩壊し荒廃した未来社会というよくあるもの。しかもありがちな独裁者が支配しているというパターン。ユニークなのは、主人公が口もきけず、耳も聞こえないということ。なので叫びのみでセリフなし。心の声は別の人がナレーションで付けている。これでちゃんと感情を伝えていたので、凄いなあと。しかもイマジナリー・フレンド的に、亡くなった妹がちょこちょこ現れる。これをキッチリまとめたモーリッツ・モールというドイツ人監督はスゴい人なのかも。 ちょっとコミカルな感じも盛り込んではいるが、むしろ主人公の「IT/イット“それ”が見えたら、終わり。」(It・2017・米/加)のIT=ペニーワイズことぎょろ目(しかも筋肉ムキムキ)のビル・スカルスガルドと、インドネシア武術シラットの達人、「ザ・レイド」(The Raid・2011・インドネシアほか)のヤヤン・ルヒアンの2人の不気味な感じが勝ってしまって、ホラー感満点。笑うどころじゃない感じ。かなり怖い。 アクションはすごい! 壮絶な肉弾戦。銃を手にしても、ちょっと撃ったら捨ててしまう。弾切れ? リロードなどしない。拳がメイン・ウェポン。 銃は、目立ったのはシルバーで彫刻入りの華麗な1911オート。外装式のエキストラクターがあった(裏焼きのカットで)ので、スペインのスターとかだったかもしれない。そしてベレッタ92も。サブマシンガンはウージーとミニ・ウージーもあったかもしれない。カービンはM4系(サイトなしが多かった)で、HKの416もあったような。AK系もあった気がする。ショットガンは、ポンプが側面にエジェクション・ポートがなかった気がするのでイサカのM37あたりか。リボルビング・ショットガンはたぶん南アフリカのSAモデル12P。撮影場所が南アフリカだったとすれば、入手しやすかったのかも。そして大物がM134らしいミニガン。三脚まで持ち出し、果ては手持ちで‥‥。銃器特殊効果も南アの人のよう。 日本語のサブタイトルが悲しい。なぜ? 観客のメインは中高年なのに‥‥ しかも読めないし、意味もわからないし‥‥ 確かに「ストリーファイター」的なゲームがモチーフになっている気はするけど。 公開3日目の初回、新宿の劇場は15分前くらいに開場。すぐにエスカレーターで上がると、すでに予告が流れていた。観客層は若い人から中高年までいたものの、メインは高寄り。男女比は、女性が3割くらい。最終的には232席に3.5割くらいの入り。まあこんなものだろう、という感じ。 |