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始まってすぐ映画に引き込まれ、最後まで目が離せずハラハラドキドキ。面白かった。 久々に映画を堪能した感じ。取調室での対話がメインなのに、この緊張感! しかも、事件の背後に切ないヒューマン・ドラマ的なドロドロしたものがありながら、そこだけに帰結させず、ドライな感じに仕上げられているところが絶妙。ボクは原作を読んでいないのでわからないが、これは原作の味であるのかもしれない。原作も読んだ方が良いかなあ。さらに完全解決じゃなく、続編が作れそうな余韻残しの終わり方なのに、このスッキリ感。監督はただ者ではない。スゴイ! もちろんすべてのキャストの演技が素晴らしいのは言うまでもない。みな、ピタッとハマっている。特に素晴らしいのは、核となる佐藤二朗はもちろんとして、やっぱり名優、山田裕貴だろう。めちゃめちゃ頭が良いのをハッキリ自覚していながら鼻に掛けるようなところがなく、それでいて犯人にグイグイ圧力を掛けていく感じや、上司や所轄との微妙な関係なども、実に上手く自然ににじみ出させていたように思う。 いちいちキャストの素晴らしさを上げていると切りがないほどだが、倖田巡査を演じた伊藤沙莉は、やっぱりとても自然で等身大な感じが見事。取り調べに立ち会っている新米刑事らしい伊勢を演じた寛一郎も良かった。ボクが見た数少ない邦画の中で「一度も撃ってません」(2019・日)や「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(2017・日)に出ているらしいのに、まったく印象になく、初めて見た感じ。今度はキッチリ印象に残った。そして倖田巡査のバディとなる矢吹巡査長を演じた坂東龍汰は、倖田巡査との漫才のような掛け合いが秀逸‥‥ とまあ、全員こんな感じ。すばらしい。 監督はCMディレクター出身の永井聡。手がけた劇場作品のリストには話題になったものがズラリと並ぶ。ボクが見たものだと菅田将暉主演のミステリーというかホラー的な「キャラクター」(2021・日)が確かに怖かった。見ていないが「帝一の國」(2017・日)はかなり強烈なギャグ、コメディで、「恋は雨上がりのように」(2018・日)はラブ・ストーリーだそうで、ようは何でも撮れる人なのだろう。もし、ちゃんと笑えるコメディや、ちゃんと怖いホラーを撮れる人は本当に才能というか実力のある監督だ、という仮説が正しいとしたら、それにピッタリはまる。 【ただいま執筆中。少々お待ちください】 |